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1遥か銀河に手を伸ばし:その手は銀河を透けて見る

*ショートショート:NASAがマッドサイエンティストNASAに形態変化する容姿を持った元地球監察官の宇宙人の話

プシュー
自動ドアが開く音がする。
「遅かったな」壁一面に宇宙空間が広がる
その下のコンソールパネルのキ―を忙しく
動かしながら、後ろも見ないで
一人の男が声だけを今、室内に入って来た男に
発した。
「悪いな、ジェルド。地球が思いの他
楽しかったものだから」
「ふん、地球がじゃなくて日本がだろ」
ジェルドに言い返された男は
コンソールパネルの前に座っている
ジェルドの椅子の背にもたれかかった。
「おい、煩わしい」
「わりぃわりぃ、ジェルド
だけどそんなに邪険にするなよな
日本の年末は楽しかったぜ。
クリスマスだっけ?
それと地球の太陽暦の年度変わりの年越しという行事でさ
主に日本人だけど他の地球人も
集まって仮装して街に繰り出すんだぜ」
ジェルドは相変わらずコンソールパネルから
目を離さないで皮肉げに言う。
「ふん、お前の事だから日本の侍の格好をして
その辺の日本人とSNSで自撮りでもしたんだろ
宇宙人だと正体がバレなかっただろうな」
「おいおい、ジェルド。
オレがそんなヘマをする訳ないだろ
ま、念の為頭から足の先まで侍の防護服
甲冑を着こんで顔も面を付けていたからな
オレってグッジョブ」
「まぁ、それならOKか。
何しろ俺達のご面相を地球人が見たら
アメリカのNASAの基地に連れ込まれて研究対象だからな」
「おお恐、そんな人生ごめんだね。
そう言えば一人、グレイ型宇宙人
スーツを着ていた地球人ー多分日本人かな?がいたぜ。
何でも大勢の人の中に宇宙人が紛れ込んで
いないか探していたんだとか言ってたなぁ」
「教えてやれば良かったのに」
「何言ってんだよ。銀河連邦法で
独自の宇宙航行技術を持たない惑星人に
正体をさらすのは禁止だろ。
んで、そいつさぁ嬉しそうに宇宙人について
話すんだよ。夜空に変則的な動きをする
光の点が映っている動画を見せながらさ
おれ、隣に宇宙人いるぞって
言ってやりたかったな」
言ったらお前臭い飯を食う羽目になってたな」
「まぁ、信じちゃくんなかったと思うけどな。
だけどそいつ、ネオンの明かりで星空なんか
見えないのに手を伸ばして
いつか宇宙人に遭うって言うんだぜ」
「さぁ、ワープの準備ができた。席に付け」
ジェルドは男の言葉に何の感慨も示さなかった
だが、胸の内でその地球人の夢に
地球に憧れてその夢を果たした自分の事と
重ね合わせていた。





テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

2遥か銀河に手を伸ばし:日本の間違っあた楽しみ方と言われても

*ショートショート:NASAがマッドサイエンティストNASAに形態変化する容姿を持った元地球監察官の宇宙人の話

室内は静かだった。
宇宙船の外では星がまぶしい光の矢となって
後方へと飛んでゆく。
ジェルドはコンソールパネルから
目を離し、地球産のコーヒーを口に含んだ。
「お、ジェルド。コーヒー飲んでるの」
隣の席で地球の小型ゲーム機で遊んでいた
同じ地球保護観察官のオーディスが声をかけてきた。
「なぁ、ジェルド。それ俺にもくれない?」
「自分で入れろ。単なるインスタントだ」
「えーっ面倒くさいから言ったのに」
ぶつくさ言いつつジェルドは席を立って
コーヒーを入れに行く。
「なぁ、ジェルド不思議だよな」
「何がだ」
「俺たち、地球の生まれじゃなくて
異星人なのに地球の食べ物が食べれるなんてな」
「それは胃の中に対地球人用地球産食物特殊消化液を
胃に入れて消化できるようにしているからだろ。
でなきゃ、本来のオレ達の胃は受け付けない」
「だけどさジェルド、消化だけならともかく
味覚まで変化して地球の食べ物を受け入れているんだぜ」
オーディスが不思議そうに疑問を投げかける。
オレは手元のコーヒーの黒い色を眺めながら
「まぁ、確かに地球保護観察官としての研修で
地球産の食物を食べた時変な感じがしたな」
「だろ?それが地球に来て地球人のふりをして
暮らしている内にいつの間にか味覚まで
変わるなんて信じられねーぜ」
「お前の場合、味覚だけでなく
視覚までおかしくなっている」
「ええっジェルド。地球人化していると言ってくれよ。
ていうか、地球のファッションを調べるのも
地球人研究の一環だぜ」
そう言ってジェルドは大げさに腕を広げた。
「お前の場合、単に趣味だろ。
しかも地球の一国、日本のそれも特殊化された
コスプレというファッションを嬉々として
楽しんだ結果その格好か」
「いやぁ、何蔑んだ目でみちゃっているのよん、
 ジェルド君。
これは宇宙人に憧れる地球人に敬意を表して
この宇宙船の収納も考えて着用しているんだぜ」
「オーディス、お前バカだろ。
何で異星人のお前がグレイ型宇宙人スーツを
着るんだ?しかも地球人用のスーツを
何故元の姿で着用できるのかオレは知りたい。
いや、知らなくてもいいかというか教えるな」
「なんだよぉ、そんなのちまちま特殊加工キット
変形させたに決まっているだろ。似合うか」
「グレイ型宇宙人がみたら怒りだしそうな
変形だ。せめてこの船の中だけにしておくんだな」
「ええっすごい時間かけて変形させたんだぜ」
「文句言うな。星間摩擦を引き起こすぞ」
「へいへい、真面目なジェルド様の言う通りに
しますよっと、ゲームでもするか」
そう言ってジェルドはサイドゲームに没頭した
オレはやれやれとコーヒーを飲んだ。





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ジャンル : 小説・文学

3遥か銀河に手を伸ばし:相棒の頭がいかれている時の対処って何だ?

*ショートショート:NASAがマッドサイエンティストNASAに形態変化する容姿を持った元地球監察官の宇宙人の話

一隻の宇宙船が宙を光の速度で進んでいる。
その船の一室で一人の男がコーヒーを飲んでいた。
室内は静かそのものだった。たった今まで。
自動ドアが静かに開いたのに騒々しい音を感じるのは
何故だろうか。
「ジェルドぉジェルドぉ。お、又コーヒー飲んでるの」
それは同じ元地球保護観察官のオーディスの声だった。
ジェルドは深くため息をついた。
「オーディス、お前は地球の手動式開閉ドアを
騒々しく開けるのを自動ドアでできるのは何故だ?」
「何の事だ?嫌だなぁ俺に自動ドアに騒音機能をつける
才能なんかないぞ。ジェルドは変な事を聞くなぁ」
オーディスはゲラゲラ笑った。
皮肉が通じないオーディスにジェルドはため息をついた。
「それで何の用だ」
「あ、そうそう、地球での任務中にさ、地球人が
自動掃除ロボットや自動料理ロボットを作っていただろ」
「ああ、地球のメーカーが盛んに宣伝していたな」
「だろ?うちの本星じゃ家事なんて地球の野球ボール大の
スケルトン家事ロボットが全部やってくれるだろ」
「オーディス、話がまったく見えないんだが」
「いやぁ、だからさっ 地球の秋葉原のメイド喫茶って
あっただろ?あれ萌え萌えぇて可愛かったじゃん♪
で、球形スケルトン家事ロボットってなんか味気ない」
「船内の積載量には限度がある。お前、まさかメイド人形を
地球を離れる際に購入したんじゃないだろうな」
「いやいや、俺だってそれは自覚しているよ。
だから嵩張らない金色の全身タイツを購入してだなぁ」
「それで」
ジェルドは嫌な予感をおぼえながらオーディスを促す。
オーディスは満面の笑みで
「そうなんだよ、その金色の全身タイツの中に
球形スケルトンン家事ロボットを入れてだなぁ、
地球人の筋肉や骨とか神経とか疑似成形するジェルを入れて
人型にして・・・メイドさん作っちゃった♪」
そう言ってオーディスはじゃ~んと言いながら
アンドロイドと化した金色の全身タイツを
オレの目の前に押しだした。
しかし、それはどう見ても
「これ、スター○ぉーズの金色ロボットにしか見えんぞ
 しかも、何でエプロンだけつけさせているんだ」
「え、ええ?そんな事ないぞ。これはメイドの花子さんだぞ、
可愛いだろ」
「ソウデス。ワタシハメイドノハナコデス。
ゴシュジンサマ、ゴメイレイヲオネガイシマス」
ジェルドは頭を抱えた。
「オーディス、お前は趣味だけでなく視覚もおかしいという
のはよくわかった」
そしてジェルドはにっこり笑って言った。
「今すぐ、そのスター○ォーズもどきを捨ててこい。
積載オーバーだ」
「ええっこの狭い船内で癒しのメイドさんだよ?」
「どこが癒しだっ鬱陶しいだけだっ」
その後ジェルドとオーディスは全身タイツくんを巡り
船外作業用装着スーツを着て激しく言い争った。
「ゴシュジンサマタチノタメニ、ワタシショクジツクル」
結局涙を呑んだのはジェルドだったのだった。
注)地球では金色の全身タイツはメイドさんロボにはなりません。



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ジャンル : 小説・文学

4銀河に手を伸ばし:同一圧力と多様性のはざまのパンデミック

*ショートショート:NASAがマッドサイエンティストNASAに形態変化する容姿を持った元地球監察官の宇宙人の話
一隻の宇宙船が宙空を光の速度で進んでいる。
その船の一室で一人の男がコーヒーを飲んでいた。
室内は静かそのものだった。
「地球は今頃どうなっているかな」
そうぽつりと元地球保護観察官のジェルドは言った。
「ん~。相変わらず騒々しくお互い自己主張しして
殴り合いだの和解だのぎゃぁぎゃぁやってんじゃねぇ」
そう答えたのは同じ地球保護観察官だったオーディスで、
彼は地球性の小型ゲーム機をやりながら言った。
「ジェルドサマ、コーヒーノオカワリハイカガデスカ」
「ん?もう一杯もらおうかな」
ジェルドは声をかけてきた球形スケルトン家事ロボットと
地球人体型に形成した地球産の金色の全身タイツ
オーディスいわく「萌えメイドさん♡」に返答した。
「ジェルド、金色の全身タイツのメイドさんに慣れたな」
オーディスがゲームを中断してにやりと笑う。
ジェルドは憮然として、
「仕方がないだろう。オレが破棄しろというのを、お前が
 船外作業用装着スーツで争ってまで主張したんだ。
 バカな喧嘩にいつまでも付き合う程オレは暇じゃない」
「泣く子と地頭には勝てぬってか、へへへ」」
「笑いごとじゃないぞ、オーディス。
 何故地球の秋葉原の人類の若い女が演じるメイドと
 金色の全身タイツが同じに見えるのか、
 そこを問題視しているんだオレは!
 しかもエプロンまで装着させるなんて何を考えているっ」
「ん~面白いからかな?だって俺地球人じゃないから
 人間の女子を可愛いとは思っても本星の同種の女子と
 同じ好きにはならないもんねぇ、いや、なったらそっちが
 変態よ、ジェルドちゃん♪」
「ほう、その論理で行くと地球人類の若い女性に対して
 金色の全身タイツをメイドにする事に違和感を覚える
 オレの方が変態だって言いたいのか」
「え、やだなぁジェルドちゃん、俺、そんな事言ってないよ。
  何て言うかな、ジェルドちゃんほら、ニホンイシガメの
 個体に美のランキングをつけるような目で
 地球人類を見る能力が高いって事じゃない?」
「ほう、そうするとオーディス、お前は地球人類の雌雄の
 区別もあまりつかんという事か。
  しかも例えが何故ニホンイシガメだ?普通地球だったら
  鯉とか花で例えないか?」
「え?そうかな?ああ確か地球人類は花や星とかで美を
 ランキングするんだっけ。鯉は日本だな」
「お前、地球人類の美の標準値位理解できなくて
 よく地球保護観察官になれたな」
ジェルドは呆れた様に言ってコーヒーを一口飲んだ。
「いやぁ、俺、きっと他の所で優秀だったんだよ。
 ほら、地球じゃそういうの個性って言うんだぜ」
オーディスは人懐っこい笑みを浮かべて
人差し指を左右に振った。
「単にマニアックなだけだろ。常識とかけ離れた回答で
よく地球人類とコミュニケーションがとれたな」
「あはは、地球の東京は変人だらけさ。多少変わっても受け入れてくれる」
ジェルドはじっとオーディスを見た。そして
「確かには変わっている。国民は同一性を重んじるのにな」
「同一性を重んじ過ぎて正反対な物ではっちゃけるんじゃない?」
 ジェルドはそれには答えなかった。
そして遥か遠くになった地球のある方向をじっとみつめた。


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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

5遥か銀河に手を伸ばし:ある人生に栞をはさむ時

*ショートショート:NASAがマッドサイエンティストNASAに形態変化する容姿を持った元地球監察官の宇宙人の話

一隻の宇宙船が宙空を光の速度で進んでいる。
その船の一室で一人の男がコーヒーを飲んでいた。
室内は静かそのものだった。
「ジェルドサマ コーヒーノオカワリハイカガデスカ」
「そうだなもらおうかな」
元地球保護観察官のジェルドは、読んでいる本から
目を上げずにそう答えた。
球形スケルトン家事ロボットと地球人体型に形成した
地球産の金色の全身タイツー相棒のオーディスいわく
「萌えメイドさん♡」に返答した。
そしてジェルドのそばのサイドテーブルに
金色の全身タイツのメイドはコーヒーを置いた。
「ジェルドぉ紙の本なんか読んでるの?」
部屋に入って来た相棒のオーディスが声をかけてくる。
「悪いか?」
ジェルドは顔を上げずに答えてページをめくる。
「いや、それ地球の本だろ?でも地球でも電子書籍が
普及しているじゃん?宇宙船の積載量を考えても
 地球の電子書籍を本星の端末に収蔵すればいいんじゃね?」
 オーディスはそういって金色の全身タイツメイドに
コーヒーをオーダーした。
 ジェルドはちらりとオーディスを見て、
 「別にいいだろ、オレは紙の本が好きなんだ。
 地球では紙の本は無くならないだろうけれど、
 電子書籍が主流になるだろう。
 貴重な資産を保護しただけだ」
 オーディスは、コーヒーを一口飲み、
 「でも、それってお前の好みじゃないだろう?
 『怪獣大作戦』なんて子供向けテレビの
 怪獣特集の本じゃないか、小難しい小さい字を追うのが
 好きなお前にしては異色だよなぁ」
 ジェルドは頁をめくりながら
 「オレは文字マニアじゃない。オレがこれを
 読んでいるのは…いや、何でもない」
  「へ?何何、教えてよジェルドちゃぁん」
 「気色悪い声を出すな。お前には関係ない」
 「ちぇ、ケチくせぇの。あ、俺システムチェックしてくるわ」
「早く行け。そして遅く帰って来い」
 「うわぁ、ジェルドちゃんきつーい。いいもん俺には
  金色の全身タイツメイドちゃんがいるもん。
  メイドちゃん、行ってきま~す」
「オーデイスサマオキヲツケテ」
 メイドはオーディスの消えたドアにお辞儀した。
それをちらりと見送ったジェルドは本に視線を戻した。
 表紙に『地球大作戦』と大きく書かれて
 ワニが2本足で立ち上がったようなゴツゴツした怪獣が
 火を吹きビルを倒しているイラストが描かれていた。
 「私の小さい頃読んでいたものなんです」
この本の元の持ち主は大事そうにこの本を撫でていた。
たまたま立ち寄った公園で1人ぽつんと椅子に腰かけた老人。
何とはなしに老人の過去の思い出を聞いていた。
路地裏で友と走り回ってヒーローになりきった話。
上京して必死で働いて高度成長期を過ごした青春時代。
家庭を持って家族を守り孫が生まれ妻と二人暮らしになり。
「私はある意味幸せな一生でした」
そうジェルドに独白した老人は静かにほほ笑んだ。
そして、老人の本はジェルドの手元に今ある。
彼は、この本が宇宙を旅するとはおもわなかっただろうな。
ジェルドは、ふっと笑ったのだった。 了

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Author:ぷりちーぴ
はじめましてちーぴ
主に4コマ・
ショートショートを
載せているちーぴ

(↑フィクションです。
実在の人物・団体等とは
関係ございません。
また、『SS』とは
ショートショートの
略として用いております)

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