ss200916レベル1のヘルゲート「ビフォー犬の躾は基本です」
ss200916レベル1のヘルゲート「ビフォー犬の躾は基本です」:
「聖母様、どうか彼をお守りください」
あたしは一心不乱に祈ります。
そう、あたしはこの聖母教会で巫女をしています。
そんなあたしが恋をしました。
いえ、別に恋をしていいんです。
だって聖母様は全人類の母、
母という事は結婚している(いない人もいる)という事。
聖母様は子だくさんでもあります。
ですから結婚や親子を守護するありがたーい縁結びの神様でもあります。
共働きも片親応援もばっちりの神様です。
だから、既婚者の巫女もざらにいます。
「あーら、あなた何を聖母様に熱心にお祈りしているのぉ」
「あ、聖女さま。ごきげんよう。べ、別にそんなに熱心に
祈っている訳ではいえ、巫女たる者が聖母様をないがしろに
しようとしている訳ではありません」
あたしはしどろもどろ答えた。
何しろ、聖女様は生ける聖母様とされているお方。
癒しや祝福の力が通常の人や魔術師よりも計り知れないほど
強力な力をお持ちの方なのです!
尊敬しているのですがちょっとまずい所に来られたなぁと・・・
「あなた、恋をしているんでしょう。さ、あたくしにお話しなさいな❤」
そう、人の恋路に首を突っ込むのが三度の飯より好きな方なのです!
あたしは肩を出して胸の上と下を細い帯でドレスを締めている
胸が大きく強調された白いドレスを着た聖女様に
ほっぺたをつままれて話すように促される。
「いたひですぅ、聖女様ぁ。離してくださいぃぃいいいいい」
「じゃぁ、あたくしに話しなさいな」
あたしは渋々話し出した。
彼は異世界人でこの世界に迷い込んだこと。
役所の斡旋で食堂の出前持ちをしていて
あの強力な魔法がかかった自転車を乗りこなしていて
本人にはその自覚が無いこと。
王立魔術学院の魔術師たちがその事で
彼に興味を持ち、出前を持ってこさせると称して
彼と闘う事で実際は研究している事などを
話した。
すると聖女様が
あらぁ、そんな事があったのね。
それで貴女は彼に『恋』をしたのね♪」
あたしは真っ赤になって両手を振って
「ち、違いますぅ。恋だなんてそんなおこがましい。
あたしは巫女ですから全人類の幸せの為に
祈るお仕事で精一杯ですぅ」
すると聖女様はその麗しい顔をキラキラ輝かせながら
「何を言うの。全人類愛と恋は対等よ。
いえ、恋する乙女は最強なのよ。
というかぁ実は聖母さまよりご神託があったの」
「え?ご神託といいますと・・・?」
「んもう、鈍いわね。貴女が一生懸命祈るから
彼の身に危機が迫っているのよ。
あの王立魔術学院が彼の出前を邪魔するために
ケルベロス使いの漆黒の魔女を
相手に選んだのよ。
ケルベロスと言えば、この『犬嫌がり』の草が
有効よ。
これを彼の元に持って行って・・・」
あたしは聖女様の手からひったくじゃなくて
恭しく『犬嫌がり』の草を受け取り
彼の元へと向かった。
そして彼にご神託の事はかなりはしょって伏せて
(というか、彼を目の前にするとうまく言えなくて
顔は真っ赤になるしもじもじして不審者になるし
あたしのバカバカバカ)
彼に伝えて『犬嫌がり』の草の入った袋を渡した。
その時、彼の手が私の手に触れてきゃぁっと
心臓がバクバクいったけれど、
なんとかこらえたのです!
いやぁぁああああ手洗えないどうしよう。
なーんて他人からみたら挙動不審になって
教会に帰ると、
「じれーたいじれーたい♪」と
聖女様に歌われてしまったのでした。
だけど負けない!
いつか彼と交換日記をするのが次の私の野望なのです!
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
「聖母様、どうか彼をお守りください」
あたしは一心不乱に祈ります。
そう、あたしはこの聖母教会で巫女をしています。
そんなあたしが恋をしました。
いえ、別に恋をしていいんです。
だって聖母様は全人類の母、
母という事は結婚している(いない人もいる)という事。
聖母様は子だくさんでもあります。
ですから結婚や親子を守護するありがたーい縁結びの神様でもあります。
共働きも片親応援もばっちりの神様です。
だから、既婚者の巫女もざらにいます。
「あーら、あなた何を聖母様に熱心にお祈りしているのぉ」
「あ、聖女さま。ごきげんよう。べ、別にそんなに熱心に
祈っている訳ではいえ、巫女たる者が聖母様をないがしろに
しようとしている訳ではありません」
あたしはしどろもどろ答えた。
何しろ、聖女様は生ける聖母様とされているお方。
癒しや祝福の力が通常の人や魔術師よりも計り知れないほど
強力な力をお持ちの方なのです!
尊敬しているのですがちょっとまずい所に来られたなぁと・・・
「あなた、恋をしているんでしょう。さ、あたくしにお話しなさいな❤」
そう、人の恋路に首を突っ込むのが三度の飯より好きな方なのです!
あたしは肩を出して胸の上と下を細い帯でドレスを締めている
胸が大きく強調された白いドレスを着た聖女様に
ほっぺたをつままれて話すように促される。
「いたひですぅ、聖女様ぁ。離してくださいぃぃいいいいい」
「じゃぁ、あたくしに話しなさいな」
あたしは渋々話し出した。
彼は異世界人でこの世界に迷い込んだこと。
役所の斡旋で食堂の出前持ちをしていて
あの強力な魔法がかかった自転車を乗りこなしていて
本人にはその自覚が無いこと。
王立魔術学院の魔術師たちがその事で
彼に興味を持ち、出前を持ってこさせると称して
彼と闘う事で実際は研究している事などを
話した。
すると聖女様が
あらぁ、そんな事があったのね。
それで貴女は彼に『恋』をしたのね♪」
あたしは真っ赤になって両手を振って
「ち、違いますぅ。恋だなんてそんなおこがましい。
あたしは巫女ですから全人類の幸せの為に
祈るお仕事で精一杯ですぅ」
すると聖女様はその麗しい顔をキラキラ輝かせながら
「何を言うの。全人類愛と恋は対等よ。
いえ、恋する乙女は最強なのよ。
というかぁ実は聖母さまよりご神託があったの」
「え?ご神託といいますと・・・?」
「んもう、鈍いわね。貴女が一生懸命祈るから
彼の身に危機が迫っているのよ。
あの王立魔術学院が彼の出前を邪魔するために
ケルベロス使いの漆黒の魔女を
相手に選んだのよ。
ケルベロスと言えば、この『犬嫌がり』の草が
有効よ。
これを彼の元に持って行って・・・」
あたしは聖女様の手からひったくじゃなくて
恭しく『犬嫌がり』の草を受け取り
彼の元へと向かった。
そして彼にご神託の事はかなりはしょって伏せて
(というか、彼を目の前にするとうまく言えなくて
顔は真っ赤になるしもじもじして不審者になるし
あたしのバカバカバカ)
彼に伝えて『犬嫌がり』の草の入った袋を渡した。
その時、彼の手が私の手に触れてきゃぁっと
心臓がバクバクいったけれど、
なんとかこらえたのです!
いやぁぁああああ手洗えないどうしよう。
なーんて他人からみたら挙動不審になって
教会に帰ると、
「じれーたいじれーたい♪」と
聖女様に歌われてしまったのでした。
だけど負けない!
いつか彼と交換日記をするのが次の私の野望なのです!
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m