ss201026奥様は魔女と使い魔ちゃん4🍀キリ番55555お礼ショートショート🍀
「ただいま〜♪」
「にゃーん」
ん?家のドアを開けると
玄関で猫がお座りをして
出迎えてくれた。
俺はドアの外の表札を見て
自分の家である事を確認する。
「あ、ダーリン大丈夫。
ここはあなたの家よ、
お帰りなさい」
そう言って奥様がパタパタ
スリッパを言わせながらやってきたので
安心する俺。
「うん、ただいま。
それよりその猫ちゃんどこの子?」
奥様の腕の中ですっかり寛いでいる
ミックスらしき猫ちゃんの頭をなでがら
尋ねると
「うん、この子魔女友の一人の
使い魔ネコちゃんなの。
今日はお使いにやってきてくれてね。
もう遅いからうちでお泊りなのよ」
そう、奥様は魔女なのだ。
魔女界から人間界にやってきて
俺と出会って結ばれた。
「ん?でも使い魔って亜空間だっけ
伝ってくるから瞬間移動できるんじゃないのか」
「その魔女友さん、今日お客様があるのよ。
それでちょうどこの猫ちゃんが帰る時間の
来客だから結界を張って、自分の使い魔ネコちゃんでも
おうちへ入れなくしちゃうのよね」
「そうなんだ。それなら仕方ないな。
取り敢えず、俺は風呂に入ってくるよ」
「うん、そうしてくれる?
それからご飯にしましょ」
こうして俺は風呂に入り
食事をしてリビングで寛ごうと
ソファに座っている奥様の隣に座った。
「・・・この使い魔ネコ、君の膝の上で
寛いでいるね」
「ふふ、もしかして妬けてる。
なんか懐かれて嬉しいわ」
「俺も触って大丈夫かな。
あ、頭ぐりぐりさせてくれる。
お、なんか顎出して下をなでれと
言っているなこれは。
随分人懐こいな」
「うん、この子は使い魔ちゃんと言っても
飼い猫に近い子だから
可愛がられているのよ。
本職の使い魔ちゃんは
警察犬とか捜索犬のような
キリリとしているわよ」
「そうなんだ。
ま、何はともあれって急に
テレビ見始めたぞ」
「あ、ダーリン。
それは魔女ネット放送だわ。
消してって間に合わない!」
そうなのだ。使い魔ネコは
魔女ネット放送の画面に
お天気キャスターが
映った途端、猛烈な勢いで
その画面に突進し、
その中に入ってしまった。
それだけではない。
お天気キャスターは若い女の子
なのだが、あらゆる方向から
やってきた猫たちにかこまれ
埋もれてしまっている。
「なぁ、この映像って何?」
すると奥様がため息をついて
「ほら、お天気キャスターが持っている
先に丸い球が付いた棒に
猫って反応するでしょ。
普通はネット放送の方で結界を
張るんだけれど、
このお天気キャスターの『秋』は、
結界の張り方が甘いというか
猫にモテるというか、
能力の高い使い魔ネコちゃんが
画面の中に入っちゃう事で
有名なの。
ま、それが可愛いって人気なんだけどね。
もう一つの人気はね、
ほら、この人」
そう言って画面を見ていると
スーツをビシッと着こなした
黒髪黒目の美上部が猫達を
優しく撫でたかと思うと、
次々と猫達が画面から消えていく。
「そ、あれが『奇一』と言って
魔女ネット放送局のアナウンサー。
『秋』の恋人という噂があるのよ。
ああして使い魔ネコちゃん達を
持ち主に送り返してくれるのよね。
ほら、戻ってきた。お帰りなさーい。
ダメでしょう、テレビに入っちゃて
言っても、猫の性には逆らえないか。
しょうがない、もう一つ猫の性に
逆らえない事をしちゃおうかな♪」
「おいおい、お仕置きなんかしたら
可愛そうじゃないか」
「やだ、お仕置きなんかしないわよ。
ただ、この預かっていた折り畳み式の箱を
広げて、中に使い魔ネコちゃんを入れると
はい、スヤスヤお休みなさーい」
そう、預かった使い魔ネコは
箱の中で眠っていた。
「猫って箱の中に入ると大人しくなるというけど
すぐ眠るのは魔法?」
「そうよ。これからは、あたしたち二人の時間でしょ」
「そうだな。ちょっと何か飲もうか」
こうして俺たち二人は静かになった夜を
楽しんだのだった。
了
🍀キリ番55555お礼ショートいかがでしたでしょうか。
お読みいただきありがとうございました(^^)🍀