SS230428体絶命!!16『説明書はよく読んで』
SS230428体絶命!!16『説明書はよく読んで』・・・⚔
「ふわぁ 眠い・・・」
そう言ったのはパーティーを組んでいる女魔法使い。
「ホーンと。春のお日様がぽかぽかして
眠っていてぇなぁ」
そうして大あくびをしたのはこれも
仲間の若いシーフ。
俺は剣士でこの二人とパーティーを組んで
各地の冒険者ギルドの依頼を受けて旅をしている。
「二人とも、あともう少しで町につく。
宿をとってそこで眠ったらいいじゃないか。
俺は冒険社ギルドに行って何か良い
依頼がないか探してみる」
すると女魔法使いが
「そうね。町から手近なところで
楽そうな薬草採集位にしてくれない?
懐はけっこうあたたかいから
当分は簡単な依頼にしましょ」
と言うと
「そうだな。おいらもここ数日は
惰眠を貪りたいから同じく一票だぜ」
とシーフもふわぁとあくびをして伸びをした。
「了解した。その線で探してくる」
そういうやり取りをしているうちに
町に到着した。
手近な安宿だがこざっぱりとしているので
二人とも満足して、
女魔法使いだけは一人部屋で
俺とシーフは相部屋で泊まることにした。
二人がふかふかのベッドにダイブして
寝入ってしまった。
俺はしょうがないなと思いつつも
夕飯頃には起こしてやろうと考えながら
宿を出て、宿の女将から聞いた
冒険者ギルドへと足を運んだ。
ギルドへ入るとすぐに依頼のボードへと向かう。
(お、これなんか良さそうだな)
俺は依頼のメモを持って受付のカウンターへ向かった。
カウンターには笑顔の可愛い受付の女性が待っていた。
「いらっしゃいませ。メモをお渡し願えますでしょうか。
ハイ、ありがとうございます。
えーと、世界一大きくて悪臭でハエをおびき寄せて
受粉活動をさせる『ラフレーシャン』の駆除ですね。
では冒険者カードの提示をお願いいたします」
お、おう。一気にしゃべり終えた受付の女性に
圧倒された俺は、冒険者カードをカウンターの上に出した。
すると、俺のカードを見た受付の女性が一瞬固まった。
「あ、気にしないでほしい。
今は休暇中でリフレッシュするだけなんだ」
「そ、そうですか。お客様ほどのレベルになれば
どんな依頼も受けられますのに残念です。
あ、すいません余計なおしゃべりをしまして。
はい、では依頼の受理をいたしましたので
説明書をよくお読みになって依頼をこなされますよう
宜しくお願いいたします」
俺は、黙ってうなずくと
カウンターから速攻離れた。
・・・・・・・
「で、何でこんな依頼を受けたのよ」
不愉快そうな声を出す女魔法使い。
「いや、簡単な依頼だと思ったからだ」
俺がそう答えると
「確かに簡単でしょうよ。
だけど、この悪臭で名高いラフレーシャンの駆除
なんて受けないでよ。
しかも、このラフレーシャンが今年は
咲きすぎていて、
美味な水をその身に蓄えている宿主の『美味葛』が
弱っているから駆除してほしいなんて
例年より悪臭が酷いから
誰も依頼を受けなかったんでしょ!」
「そ、そうか。それは気付かなかった。
俺は修行と試練と鍛錬のおかげで
こういう事態も慣れていた物だから・・・」
「まぁまぁ。二人とも。
依頼を受けちまったのは仕方がない。
とにかくとっとと片付けて帰ろうぜ。
早くしないと、服や身体に臭いが移って
宿屋に宿泊拒否されちまう」
もう一人のパーティーのメンバーの
シーフがそうとりなしたので
女魔法使いもしぶしぶ依頼を片付けるため
依頼の説明書を読み始めた。
そして
「とにかくラフレーシャンを
宿主から無くせばいいんでしょ。
剣士、聖剣エクスカリバー出しなさいよ。
それに、対象をちり芥にする魔法を
かけるからそれでラフレーシャンを
切ってきてちょーだい」
俺は頷いて、聖剣エクスカリバーを出した。
そこに女魔法使いが、魔法をかけた。
「それではミッション『ラフレーシャン駆除』
を実行してくる」
俺はそう言うと、武術「疾走」を使い、
目に物止まらぬ速さでラフレーシャンを
切って行った。
その後ろで、パーティーの若いシーフの
声が微かに耳をかすめたが、
任務中の俺の耳には届かなかった。
・・・・・
そして小一時間が経った。
「任務、完了」
俺はそうつぶやくと、
聖剣エクスカリバーをしまうと
パーティーの二人の元へと戻った。
?
なんか二人の様子がおかしい。
「今、戻ったが」
俺がそう声をかけると
説明書を握りしめた若いシーフが
「なぁ、ラフレーシャン全部
ヤッチャッタ?」
「もちろん。全て駆除した」
すると項垂れた女魔法使いが
「実はね。説明書に続きがあってね。
宿主の「美味葛」はね。
ラフレーシャンに余分な水や栄養を
吸い取ってもらうことで
美味しい水ができるんですって」
と言った。
「というと?」
「ラフレーシャンが無くなった
美味葛は、超不味い水を
内部に作るんだと!」
若いシーフが絶叫した。
「しかもこの美味葛って
この町の名産品なのよ!!」
「・・・・・」
俺達は何も言わずに逃げ出した。
そして俺はパーティーを追い出された。
俺は下を向いてトボトボと街道を歩く。
そんな俺に声をかける者がいた。
「ねぇ、あんた剣士?
良かったらあたしたちとパーティー組まない?」
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
サイドバーにある、お好きなアイコンを
ぽちりと押して下されば、
望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
「ふわぁ 眠い・・・」
そう言ったのはパーティーを組んでいる女魔法使い。
「ホーンと。春のお日様がぽかぽかして
眠っていてぇなぁ」
そうして大あくびをしたのはこれも
仲間の若いシーフ。
俺は剣士でこの二人とパーティーを組んで
各地の冒険者ギルドの依頼を受けて旅をしている。
「二人とも、あともう少しで町につく。
宿をとってそこで眠ったらいいじゃないか。
俺は冒険社ギルドに行って何か良い
依頼がないか探してみる」
すると女魔法使いが
「そうね。町から手近なところで
楽そうな薬草採集位にしてくれない?
懐はけっこうあたたかいから
当分は簡単な依頼にしましょ」
と言うと
「そうだな。おいらもここ数日は
惰眠を貪りたいから同じく一票だぜ」
とシーフもふわぁとあくびをして伸びをした。
「了解した。その線で探してくる」
そういうやり取りをしているうちに
町に到着した。
手近な安宿だがこざっぱりとしているので
二人とも満足して、
女魔法使いだけは一人部屋で
俺とシーフは相部屋で泊まることにした。
二人がふかふかのベッドにダイブして
寝入ってしまった。
俺はしょうがないなと思いつつも
夕飯頃には起こしてやろうと考えながら
宿を出て、宿の女将から聞いた
冒険者ギルドへと足を運んだ。
ギルドへ入るとすぐに依頼のボードへと向かう。
(お、これなんか良さそうだな)
俺は依頼のメモを持って受付のカウンターへ向かった。
カウンターには笑顔の可愛い受付の女性が待っていた。
「いらっしゃいませ。メモをお渡し願えますでしょうか。
ハイ、ありがとうございます。
えーと、世界一大きくて悪臭でハエをおびき寄せて
受粉活動をさせる『ラフレーシャン』の駆除ですね。
では冒険者カードの提示をお願いいたします」
お、おう。一気にしゃべり終えた受付の女性に
圧倒された俺は、冒険者カードをカウンターの上に出した。
すると、俺のカードを見た受付の女性が一瞬固まった。
「あ、気にしないでほしい。
今は休暇中でリフレッシュするだけなんだ」
「そ、そうですか。お客様ほどのレベルになれば
どんな依頼も受けられますのに残念です。
あ、すいません余計なおしゃべりをしまして。
はい、では依頼の受理をいたしましたので
説明書をよくお読みになって依頼をこなされますよう
宜しくお願いいたします」
俺は、黙ってうなずくと
カウンターから速攻離れた。
・・・・・・・
「で、何でこんな依頼を受けたのよ」
不愉快そうな声を出す女魔法使い。
「いや、簡単な依頼だと思ったからだ」
俺がそう答えると
「確かに簡単でしょうよ。
だけど、この悪臭で名高いラフレーシャンの駆除
なんて受けないでよ。
しかも、このラフレーシャンが今年は
咲きすぎていて、
美味な水をその身に蓄えている宿主の『美味葛』が
弱っているから駆除してほしいなんて
例年より悪臭が酷いから
誰も依頼を受けなかったんでしょ!」
「そ、そうか。それは気付かなかった。
俺は修行と試練と鍛錬のおかげで
こういう事態も慣れていた物だから・・・」
「まぁまぁ。二人とも。
依頼を受けちまったのは仕方がない。
とにかくとっとと片付けて帰ろうぜ。
早くしないと、服や身体に臭いが移って
宿屋に宿泊拒否されちまう」
もう一人のパーティーのメンバーの
シーフがそうとりなしたので
女魔法使いもしぶしぶ依頼を片付けるため
依頼の説明書を読み始めた。
そして
「とにかくラフレーシャンを
宿主から無くせばいいんでしょ。
剣士、聖剣エクスカリバー出しなさいよ。
それに、対象をちり芥にする魔法を
かけるからそれでラフレーシャンを
切ってきてちょーだい」
俺は頷いて、聖剣エクスカリバーを出した。
そこに女魔法使いが、魔法をかけた。
「それではミッション『ラフレーシャン駆除』
を実行してくる」
俺はそう言うと、武術「疾走」を使い、
目に物止まらぬ速さでラフレーシャンを
切って行った。
その後ろで、パーティーの若いシーフの
声が微かに耳をかすめたが、
任務中の俺の耳には届かなかった。
・・・・・
そして小一時間が経った。
「任務、完了」
俺はそうつぶやくと、
聖剣エクスカリバーをしまうと
パーティーの二人の元へと戻った。
?
なんか二人の様子がおかしい。
「今、戻ったが」
俺がそう声をかけると
説明書を握りしめた若いシーフが
「なぁ、ラフレーシャン全部
ヤッチャッタ?」
「もちろん。全て駆除した」
すると項垂れた女魔法使いが
「実はね。説明書に続きがあってね。
宿主の「美味葛」はね。
ラフレーシャンに余分な水や栄養を
吸い取ってもらうことで
美味しい水ができるんですって」
と言った。
「というと?」
「ラフレーシャンが無くなった
美味葛は、超不味い水を
内部に作るんだと!」
若いシーフが絶叫した。
「しかもこの美味葛って
この町の名産品なのよ!!」
「・・・・・」
俺達は何も言わずに逃げ出した。
そして俺はパーティーを追い出された。
俺は下を向いてトボトボと街道を歩く。
そんな俺に声をかける者がいた。
「ねぇ、あんた剣士?
良かったらあたしたちとパーティー組まない?」
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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宇宙生物ぷりちーぴm(__)m