後編SS230630 絶体絶命!!18「恋路(こいみち)竹林」
後編SS230630 絶体絶命!!18「恋路(こいみち)竹林」 ・・・💖
「かたじけない。
我らは東の遠国から参った者で
姫様の『お輿入れ』に向かう途中で・・・」
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
俺の頭が何かで撃ち抜かれた。
その後、何があったのかは覚えていない。
ただ峠を越えて安宿に着いた時、
女魔法使いと若いシーフが
ほくほく顔で酒を飲んでいたところで
意識が戻った。
「なんかおかしいと思ったのよねぇ。
道ながら『姫、姫』てぶつぶつつぶやきながら
ぐすぐす泣いて歩いていたから」
酒でほんのり顔が赤くなる女魔法使い。
「仕方ないだろ。出会って瞬殺で恋に破れたんだから。
そりゃそうだ。あんなところ普通の深窓の姫君だったら
うろついてないって。
それも輿入れだったら納得がいくよな」
そう言って、ケラケラ笑う若いシーフ。
「・・・・ぐす」
「あああ、分ったわよ。
失恋して辛いのが分かるからこうして慰めてんでしょ。
この近くに教会じゃなくて寺院って言うんだけど
そこに『恋路(こいみち)竹林』っていうのが
あるんだって」
「そう言えば、観光パンフに書いてあったよな。
何々。元は寺院の通りの道の両脇に見事な竹林があって
その素晴らしさから人が集まり、
いつ頃から観光客が集まりだしたんだけど」
「そう。そこで問題になったのが『相合傘の落書き』よ。
品位が落ちると地元の人達にブーイングが起きたんだけど
そこの寺院の高僧はさすがね」
「なんと落ちると土に還るミーカ紙をよじってひも状にした
こよりというのに笹の葉二枚を通して
そこに恋人同士の名前を書かせて
竹に書かれた相合傘を隠す様にさせたのよね」
「そうそう。それもちゃんと恋愛成就の加持祈祷を行って
しかも竹に書かれた恋人同士も成就するように
祈祷をなさったんですとさ」
「それに地元の困っている人達にお金を払って
その笹の葉ええっと、『笹恋紙(さされんし)』ていうのを
作らせて助けているのでもう、ここの人気うなぎ登りよ。
しかも笹恋紙で竹に書かれた相合傘を隠すだけで
善行を積むことになるらしくって余計に人気がでたのよね」
俺はそれを聞いて立ち上がった。
すると
「剣士ちょっと待ったぁ。
あんたどこ行くつもりよ。
大体その『恋路(こいみち)竹林』の場所
知らないでしょ」
「そうそう。落ち着けドウドウ。
それにさぁお姫様は国と国を結びつける
いわば外交官の役割がある訳で
惚れた腫れたで動ける立場じゃないしさぁ。
ああ、一周回って泣いてるよぉ」
「剣士。あんたそんなにあのお姫様に一目ぼれしたのねぇ。
えーとこの観光パンフに寄ると
来世で恋人になれる笹恋紙もあるみたい。
来世かぁ。さすが東国、発想が違うわぁ。
だから!落ち着けっ」
「とにかくもう寺院も閉まっているしさぁ。
明日連れていくから。
それに笹恋紙は、あんまり作ると今度は
逆にそれが景観を悪くするからって毎日数量限定・・・
夜から並ぶの厳禁だから!
今日のところはかんべんな、剣士ちゃん」
そして翌日。
俺は二人に連れられ恋路(こいみち)竹林へと向かった。
そして側の寺院で笹恋紙を買って
自分の名前を書き、姫の名前を書こうとして・・・
「ねぇ、そう言えばお姫様の名前教えてもらわなかったよね」
女魔法使いが震える声でそう言った。
「そうだ!剣士。『お姫様』と書いて似顔絵を描いたらどうだい。
大体お姫様の顔を見たの剣士だけだしさ」
フォローする若いシーフ。
俺は彼に言われるまま、震える手で『お姫様』と書き似顔絵を描いた。
ぐす・・・・
神様そして東国の神様、どうかたまには俺の願いを叶えて下さいと
祈りながら。
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
サイドバーにある、お好きなアイコンを
ぽちりと押して下されば、
望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
「かたじけない。
我らは東の遠国から参った者で
姫様の『お輿入れ』に向かう途中で・・・」
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
俺の頭が何かで撃ち抜かれた。
その後、何があったのかは覚えていない。
ただ峠を越えて安宿に着いた時、
女魔法使いと若いシーフが
ほくほく顔で酒を飲んでいたところで
意識が戻った。
「なんかおかしいと思ったのよねぇ。
道ながら『姫、姫』てぶつぶつつぶやきながら
ぐすぐす泣いて歩いていたから」
酒でほんのり顔が赤くなる女魔法使い。
「仕方ないだろ。出会って瞬殺で恋に破れたんだから。
そりゃそうだ。あんなところ普通の深窓の姫君だったら
うろついてないって。
それも輿入れだったら納得がいくよな」
そう言って、ケラケラ笑う若いシーフ。
「・・・・ぐす」
「あああ、分ったわよ。
失恋して辛いのが分かるからこうして慰めてんでしょ。
この近くに教会じゃなくて寺院って言うんだけど
そこに『恋路(こいみち)竹林』っていうのが
あるんだって」
「そう言えば、観光パンフに書いてあったよな。
何々。元は寺院の通りの道の両脇に見事な竹林があって
その素晴らしさから人が集まり、
いつ頃から観光客が集まりだしたんだけど」
「そう。そこで問題になったのが『相合傘の落書き』よ。
品位が落ちると地元の人達にブーイングが起きたんだけど
そこの寺院の高僧はさすがね」
「なんと落ちると土に還るミーカ紙をよじってひも状にした
こよりというのに笹の葉二枚を通して
そこに恋人同士の名前を書かせて
竹に書かれた相合傘を隠す様にさせたのよね」
「そうそう。それもちゃんと恋愛成就の加持祈祷を行って
しかも竹に書かれた恋人同士も成就するように
祈祷をなさったんですとさ」
「それに地元の困っている人達にお金を払って
その笹の葉ええっと、『笹恋紙(さされんし)』ていうのを
作らせて助けているのでもう、ここの人気うなぎ登りよ。
しかも笹恋紙で竹に書かれた相合傘を隠すだけで
善行を積むことになるらしくって余計に人気がでたのよね」
俺はそれを聞いて立ち上がった。
すると
「剣士ちょっと待ったぁ。
あんたどこ行くつもりよ。
大体その『恋路(こいみち)竹林』の場所
知らないでしょ」
「そうそう。落ち着けドウドウ。
それにさぁお姫様は国と国を結びつける
いわば外交官の役割がある訳で
惚れた腫れたで動ける立場じゃないしさぁ。
ああ、一周回って泣いてるよぉ」
「剣士。あんたそんなにあのお姫様に一目ぼれしたのねぇ。
えーとこの観光パンフに寄ると
来世で恋人になれる笹恋紙もあるみたい。
来世かぁ。さすが東国、発想が違うわぁ。
だから!落ち着けっ」
「とにかくもう寺院も閉まっているしさぁ。
明日連れていくから。
それに笹恋紙は、あんまり作ると今度は
逆にそれが景観を悪くするからって毎日数量限定・・・
夜から並ぶの厳禁だから!
今日のところはかんべんな、剣士ちゃん」
そして翌日。
俺は二人に連れられ恋路(こいみち)竹林へと向かった。
そして側の寺院で笹恋紙を買って
自分の名前を書き、姫の名前を書こうとして・・・
「ねぇ、そう言えばお姫様の名前教えてもらわなかったよね」
女魔法使いが震える声でそう言った。
「そうだ!剣士。『お姫様』と書いて似顔絵を描いたらどうだい。
大体お姫様の顔を見たの剣士だけだしさ」
フォローする若いシーフ。
俺は彼に言われるまま、震える手で『お姫様』と書き似顔絵を描いた。
ぐす・・・・
神様そして東国の神様、どうかたまには俺の願いを叶えて下さいと
祈りながら。
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m