180625奥様は魔女と妖精さん:ss
「ああ、何でもしてくれる小人さんが欲しい」
俺は頭をかきむしりながら嘆息する。
「何かあったの」
「仕事が忙しいんだ。こうやって家に持って帰るほど」
「確かにねぇ。最近残業続きで
今時何ブラックコーヒーおいしいの状態だものね」
「うう、すまん、折角の家族サービスを犠牲にして」
そういうと奥様は微笑んで、
「仕方ないわよ。新規事業の立上げなんでしょ?
そういう時は忙しいものよ」
とウィンクをする。
「うう、ありがとう。」
俺はホロリと奥様の優しさに涙した。
すると奥様が人差し指を顎に置き、
「そうねぇ、小人さんじゃないけれど
妖精さんならいるわよ。
そうだ、あなた忙しいから私、妖精ヘルパーさん
頼んどいたげる!
その間、私もリフレッシュして旅行に行ってくるわ💛」
「お、おいお前、忙しい俺を放っといてどこへ行く気だ。
誰と行く気だ。はっ浮気旅行かっ」
「いやぁねぇ。魔女仲間と憂さ晴らし旅行よう。
あなたにかまってもらえない寂しさを紛らわしてくるわ♪」
そうなのだ。俺の奥様は魔女なのだ。
「うう、何か納得いかないけれど、家族サービスできない
罪悪感から許す」
「お仕事ひと段落ついたら二人で旅行に行きましょ」
「あ、妖精ヘルパーさん今晩から入れるって。
じゃぁ、今から旅行に行ってきまーす」
「以前から計画立ててたのかぁ」
「だって、あなた仕事仕事で全然伝えられなかったんだもん」
そう言い残して奥様は旅行に言ってしまわれた。
さて、泣いていても仕事の手はゆるめずに
(ノД`)・゜・。しくしく一人で夕飯を食べようとすると、
なんという事でしょう。
食卓の上には既に並んでいるでおじゃる。
おいしそうな和食。きらきら光るシャケがまぶしい。
「は、もしかして妖精さんが作ってくれたのか」
しかし姿は見えない。
俺は妖精さんと神羅万象に感謝しておいしくいただいた。
それからも姿は見えねど、朝、優しく起こされ
美味な朝食が並び、家に帰れば清掃が行き届いている我が家。
お風呂に入って、背中を誰かが洗う感覚があったが、
えらいこっちゃなところまで現れそうでさすがにそこは
ノーセンキュウ。
おれは、妖精ヘルパーさんの仕事ぶりに大変満足した。
でも、だんだん奥様がいないのが寂しくなってきた。
そして、
「ただいまー」
仕事が一段落着いたころ、奥様が帰って来た。
お土産をみせようとしゃべり始めた奥様を
抱きしめ黙らせる。
「妖精ヘルパーさんどうだった」
奥様が真っ赤になって尋ねる。
「良かったよ。だけど君がいないのが寂しかった。
それにしてもあんな優秀なヘルパーさん
お高いんじゃなかったのかい」
すると奥様がウィンクして、
「大丈夫。以前、仕事で妖精族のヘマの後始末を
したお詫びだから」
奥様は魔女だ。有能な魔女だ。
だけど俺だけのしっかりしていて優しい奥様なのだった。
了
HP
