180630奥様は魔女と浴衣姿;ss
「あづい~」
奥様がリビングのソファに寝そべりながら
悶えている。
「そりゃ夏なんだから仕方ないだろ」
俺が慰めるとキ゚っとにらみつけてきて
「ダーリンは生粋の日本人だから
そう言えるのよ。
私は魔女なのよ。こんな暑さ耐えられないのは
当たり前でしょ」
そんな屁理屈を言うので、
「いや、日本人は暑さに対して諦めの境地に
いるんだ。日本に住んでいる以上、
魔女でもその境地に立つ義務がある」
とへ屁理屈で返すと、
「そんなこと言っても暑い物は変わらない~」
とジタバタする奥様。
そして、急に何か閃いたらしく、
「ねぇ、亜空間に避難しよう」
「亜空間?」
「うん、リビングに涼しい亜空間をつなげて
しまうの」
「それってクーラーつけるのとどう違うんだ?」
「ふふん、電気代がかかりませーん」
「だったらすぐしてくれ」
「日本人は諦めの境地にいるんじゃないの」
「日本人は便利さを追求する民族なんだよ」
「はいはい、じゃぁつなげるねぇ、エイっ」
「お、なんか涼しくなったいいなこれ」
「いいでしょう。ふふ、ちょっと待ってね」
そして奥様は寝室へと向かう。
そして戻ってくると、
「じゃーん どう?浴衣姿」
大胆な朝顔の柄が色とりどりに咲いている
浴衣がとても似合っていた。
そこで俺も、甚平に着替えた。
二人でリビングのソファで涼んでいると、
奥様が、
「ね、魔法で団扇から水が出るようにするから
水鉄砲卓球しない?」
「お、面白そうだな。だが、部屋びしょぬれに
ならないか?」
「ふふふ、亜空間が部屋にかぶさっているから
大丈夫だよーん。それにちょっと寒くなってきたしね」
「そうだな。じゃぁ、遊ぶか」
こうして、奥様と俺で団扇から水のボールを出して
打ち合う遊びをした。
それは子供のようにびしょぬれになって
遊びまわった。
結果。
「ぶえっくしょい」
涼しい亜空間で水を打ち合ったせいか、
二人とも夏風邪をひいたのは言うまでもない。
了
HP
