180731「お化け屋敷、好きですか?」と執事が問うので:ss
180731「お化け屋敷、好きですか?」と執事が問うので:ss
「お嬢様唐突ですが、お化け屋敷はお好きですか」
「?」
朝食を食べ終えて、食後の緑茶を飲んでいると
執事がいきなりそのような事を告げてきましたの。
「お化け屋敷ですか?ん~。学園祭で
中世ヨーロッパのゴシック調の正装をして
赤い絵の具まみれになってパーティーをした事は
ございましてよ」
「いいえ、そうではなくて、ゾンビのお化け屋敷です」
「ゾンビとは何ですの」
「死に切れない死霊の事です。
怪力で、全身ズタボロ血みどろで
襲ってくるとゾンビを役者が演じている
お化け屋敷です」
私はガタっと椅子を鳴らして立ちあがり、
「まぁ!そんな大けがをされて生活に困っていらっしゃる
方が大勢集まっているのですか?
執事。支給救援物資の手配をして下さい!
すぐに参ります」
「いえ、お嬢様。彼らは役者として
人を怖がらせるという役を演じているのです。
そういうアトラクションなのですよ」
「何を言うのです、執事。そんな不幸な役を
好んでする人がいるわけないでしょう。
高貴な者の責務、ノブリスオブリージュを
発動致します!」
「・・・は、了解いたしました」
こうして執事に救援物資を持たせて、
私はゾンビのお化け屋敷に行き、
中のゾンビさんに救援物資と当座の生活資金を
援助したのでした。
「執事、今日は本当に良い事をいたしました。
この様な徳を積む機会を与えて下さった事を
神様に感謝いたしましょう」
「・・・はい、お嬢様」
こうして私はリムジンで屋敷へと帰ったのでした。
了