ss190630奥様は魔女とヘクチッ
「ただいま~」
家に帰ると奥様がいない。
「あれ~?この時間にはいつも家に
いるはず・・・ン?2階に物音が」
ドスンと音がしたような気がするので
2階に上がると、
夫婦の寝室のドアが開いている。
「お、お帰りなさい。あなた、ヘクチッ」
「お、お前。風邪ひいたのか。
布団に入れよ」
「か、風邪っていうか。ヘクチッ魔力風邪?」
ヘクチッヘクチッと咳き込みながら
奥様が言う。
そう、奥様は魔女なのだ。
なんでも魔力がうまく体を回らず
風邪の様な症状がでているらしい。
そして気のせいか、奥様の体から
咳が出るたび子鬼の様な物が出てくる。
「なぁ、なんか小さな雷様がお前の口から
出ているような気がするんだが」
「ヘクチッ出ているようなじゃなくて
出ているのヘクチッ
その雷様が出終わると治るのよ」
「ふーん、なんかピリッと電気を出して
消えるのな」
「うん、大して実害はないからいいけど
うっとおしいでしょ」
「しょうがないよ、それより早く治してくれよ。
お粥作ってくるから」
「うん、ありがとうヘクチッ」
こうして奥様は一晩中ヘクチッヘクチッと
言って雷様がビリビリ電気を放っては
消えていったみたいだ。
とりあえず、俺はリビングのソファで
寝ながら看病したのだった。
翌朝ー
「あなたぁ、おはよう。看病ありがとうね」
「うん、おはよう。もうよくなったのか」
「うん、ありがとう。おかげでもう元気よ」
そうか、奥様が元気なら問題ない。
今日も朝日がまぶしいのだった。
了