ss201028執事は言う「お嬢様にとってそれは平和なお茶会です」:
「お嬢様、お帰りなさいませ」
執事の私が学校からお帰りになられた
お嬢様にお声をかけると
「ふんふんふ〜ん♪
執事、今度の日曜日のお茶会に
同じクラスの委員長様をご招待したのよ」
私の頭に衝撃が走る。
お嬢様の通われる学校の同じクラスの同級生で
委員長をしているのは・・・あの小僧かっ
「それでねそれでね、わたくし恥ずかしいから
委員長様と仲の良い同級生の方に
お願いしてお菓子を添えてお手紙を
お渡し頂くようにお願いしましたのよ」
確か昨日お嬢様がご命じになられたのは
有名パティシエのメロンケーキ。
そう、メロン丸ごとケーキにしたという
しかも果物はあの有名な〇疋屋の物を
使用しているという代物。
たかが一般庶民の一高校生が
受け取るには荷が重いというもの。
ふっ、そこまでされれば普通は辞退するだろう。
「そうしましたら委員長様、メロンケーキを
受け取られてお茶会にご出席いただけると
お答えいただいたの。
しかも、ケーキはクラスの方全員に
振る舞われるお心の広さの持ち主なんですのよ」
お嬢様、それはどう考えても
一人で食べるのにも苦慮し、
家族にそんな高級品を頂いた経緯を
説明するのが面倒くさかったのが
目に見えている。
「ねぇ、執事。委員長様を歓待するのに
不手際の無いようにね。
お友達の方々にも常日頃
どれだけ素晴らしい方かお話し
していたのよ。
ですから委員長様に恥をかかさないように
フォローをお願いするわね」
「かしこまりました、お嬢様」
お嬢様は、とてもご機嫌でご自分の部屋に
向かわれました。
私はそれを見届けると、口元のマイクに
「全総員に告ぐ。日曜日のお茶会に
虫が一匹紛れ込む。
なんとしても駆除するように作戦を決行する」
お嬢様はこの財閥の次期後継者。
お気の毒ですが、淡い恋心はここで
潰させていただきます。
いえ、無かった事にさせていただきます。
日曜日のお茶会がどうなったかは
誰も知らない。
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
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