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210519-4遥か銀河に手を伸ばし【昔語り】32

キャラクター紹介
ジェルド:元地球保護観察官・オレ・地球の紙の本が好き
      「オーディス、次の寄港地で喫茶店に寄るぞ」

オーディス:ジェルドの同僚・俺・種別を問わず女性好き
      「うっ。あの星の寄港地の喫茶店のマスターって」

花子さん:全身金色のタイツに
       スケルトン家事ロボットを入れたメイドさん。
      「ジェルド様、オーディス様
       おいしいコーヒー豆を買ってきてくださいね。」
      
AI自動操縦機:宇宙船を操作している人工知能
      「補給リストが忙しい忙しい」

これは元地球保護観察官(宇宙検察官でもある)が
地球より帰還する航宇宙のお話。
_________________________

210519-4遥か銀河に手を伸ばし【昔語り】32


オレとオーディスは小雨が降る中、
コートの襟を立てて目的の喫茶店を探す。

「あのジィサン、もう歳だから店閉めてんじゃねーの」

オーディスがぶつくさ言う。

「いや、一か月前に保養地として名高い惑星で
遊んでいる『写真』入りの手紙
寄こしてきたので元気いっぱいだろう」

「(*´Д`)引退してどこぞの年金村で
ゴルフでもやってりゃいいのに。
なんでこんな所で喫茶店開いているかね」

「お前、マスターは凄腕の情報屋だったんだぞ。
オレ達がこの辺りを通る事もすぐにキャッチして
お茶でもしていけと呼ばれたんだ」

「年をとっても腕は鈍ってないってことか」

そうこう話しているうちに目的の喫茶店にたどり着く。

チリリリンチリリリン・・・
オレがドアを開けると、ドアに掛けてある呼び鈴が鳴る。

「いらっしゃい」

カウンターの中でグラスを磨きながら
年老いたマスターがにこやかに出迎える。

「お久しぶりです、マスター」

オレは濡れたコートを脱いで
マスターに挨拶する

「よ、ジイサン元気そうだな。
それで呼び出した理由を教えろよ」

「まぁ、そう慌てずに。
お二人がもうくる時間だと思っていましたからね。
ジェルドさんはサンドイッチ定食。
オーディスさんは大盛ナポリタン定食はいかがですか」

「おう、作り立てほやほやじゃねぇか。ジイサン気が利くな」

オーディスが手を拭くのもそこそこにナポリタンにがっつく。

「ありがとうございます。それではいただきます」

オレも、卵サンドやハムサンド、そしてきゅうりサンド等を
堪能した。

そして・・・・
食後の珈琲がコポコポト、ポットからカップに注がれ
オレ達の前に出された。

「ん、美味しいです」

オレがそう告げ、

「俺は飲めれば何でもいいぜ」

オーディスが暴言を吐くので足を蹴とばす。

それをマスターはにこやかに見ながら

「あなた方が地球保護観察官に成るほど
出世なさるとは思いもしませんでしたよ。
まだまだスーツに着られていた時代からすると
今は雲泥の差ですね」

「ハハ、駆け出しの頃を知られている身としては
お恥ずかしい限りです」

「あのさぁ、ジイサンにジェルドちゃん。
長話はいいから単刀直入でいこうぜ。
ジイサン、何を隠している」

「あなたはいつも短気ですね。
まだ時間があるのですよ。取引のね。
まぁ、いいでしょう。
ある地球物産が違法に取引
されようとしています。
場所はここです」

オレとオーディスの脳内に
データが転送される。

「これは・・・オレ達のしごとだな」

「おう、ジェルドちゃん。そうだな。
オレ、一回船に戻るわ。
データとって各部署に連携してくる」

「分かった。俺はここで相手のデーターバンクに
潜入して狂わせよう」

「頼む、じゃぁな」

チリリリンチリリリン

オーディスの出て行く音がする。

それを見送ったマスターが

「あの頃は若かったですよえ。
私も冷や汗ものの修羅場を
潜り抜けたものです」

「そうですか。せっかくですから
店を出る前に昔の事を話して
いただけませんか。
それと珈琲をもう一杯お願いします。
眠気覚ましにね」

「それは年寄りの昔話の眠気覚ましですかね」

オレは軽く笑って珈琲を口に含んだ。
それは目覚めにふさわしい苦さだった。


善き事がありますように。

お読みいただきありがとうございました。

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4コマ210517-eきみっぺ作 限りなく・・・

4コマ210517-eきみっぺ作 限りなく・・・
210517-eきみっぺ

善き事がありますように。

お読みいただきありがとうございました。

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🐾59999🐾60000お礼ss紫陽花

🐾59999🐾60000お礼ss紫陽花


ボーンボーンボーン・・・・・

店の中で唯一動かしている古時計が
正午を告げる。
僕は修理していたアンティークの壁掛け時計から
顔を上げ、伸びをした。

店の奥の自室のドアを開けると、
愛犬の飼い犬のボンがちんまり座って
僕を待っていた。

僕はわしゃわしゃとボンの白い毛を
ぐしゃぐしゃとなでながら、

「お待たせ。いい子にしてたな。
ご飯をあげるからその後散歩しよう」

そう言って、僕はボンに餌と水をやり
自分も朝につくっておいた昼飯を
食べた。

そして食後のお茶を飲んでいると
ボンが僕の右足を前足でたたく。

「ん?散歩の催促かな、そうだね。
でも今日は雨がしとしと降ってるよ。
それでも行くか?行くの?
じゃぁお客もこないし行こうか」

こうして、僕はボンにリードをつけて
ボン用の小さな袋と傘を持ち、
マスクをつけて店のシャッターを閉じた。
『ただいま外出中』
と張り紙をして。

「おや、時計屋さん。ボンちゃんのお散歩かい?」

声をかけてきたのは
道端の占い師さんだ。

「はい、雨が降っているのですが
小降りですし、なによりボンが行きたがるもので」

「そうかい。それだったら時計屋さん、
頼まれてくれないかね」

そう言って占い師さんは
白いウエストポーチを僕の前に出した。

「えーと、そのウエストポーチを
誰かに届ければいいのですか?」

「届けるというかね、私も頼まれてね。
中にアマビエちゃんがたくさん入って
いるんだよ」

「アマビエちゃんですか」

僕は、色々この占い師さんに不思議な現象を
見せられているので、特に驚かなかった。

「本来、疫病払いの妖怪なんだけれど
それを魔術でひよこみたいな形にした
式神をつくったのが知り合いにいてね。
それをこのウエストポーチの中に
入れてある。
もちろん、一般人にはみえないけどね」

そう占い師さんは言って、一口お茶を飲んだ。

「で、あんたボンちゃんの散歩ついでに
紫陽花の花にアマビエちゃんを
置いてほしいんだよ」

「はぁ、そうは言っても僕にはアマビエちゃんは
見えませんが」

「それは大丈夫。ウエストポーチの口を
少し開けておけば、勝手にアマビエちゃんが
紫陽花の花の上に乗るから」

「そうですか。それではポーチ預からせていただきます」

「ああ、頼んだよ」

こうして僕はアマビエちゃんの入った、
ウエストポーチを預かり、腰につけて
ボンと散歩に出た。

(紫陽花は雨が降ると存在感が増すな)

ボンの散歩コースにはマンションや一戸建て、
街路樹のの間に結構紫陽花が植わっている
ことに今頃気づいたのだ。
ボンは嬉しそうに雨に濡れながら散歩を楽しんでいる。

僕はウエストポーチのチャックを少し開けて
あるのを、そっと見てみた。
だけど何も起こらない。

(やっぱりその手の才能はないからな)

そんなことをぼんやり考えながら、
紫色の紫陽花を眺めていた。

「わんわんわん!」
ボンが急に吠えたので顔を上げると、
遠くで新幹線が走って行った。
ボンは新幹線を見ると吠えるくせがある。

「ああ、新幹線だねぇ」

僕はしゃがんでボンの背中を撫でてやる。
するとボンは落ち着いたのか、吠えるのを止めた。
その時、ウエストポーチから、光の帯が
新幹線の後を追っていったように見えた。

「ボン、今の光の帯ってアマビエちゃんたちかな?」

「きゅーん」

ボンは首を傾げて僕を見た。

もしかしたらアマビエちゃん達は新幹線に乗って
日本中の紫陽花の花に乗っているのかもしれない。
僕はそんな事を考えて

(まさかね)

とつぶやくのだった。
雨は相変わらずしとしとと降っていた。


善き事がありますように。

お読みいただきありがとうございました。

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テーマ : オリジナル小説
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SS210516焼きそばパンと宇宙飛行

SS210516焼きそばパンと宇宙飛行

昼。
ここはとある学校の校舎の屋上。
俺は早々に昼飯を食べ本を読もうと
独りを楽しむはずだった。
というか楽しんでいる。

そう、それは同じクラスの同級生が
珍しく静かなせいだ。
ちゃんとつるむダチがいるはずなのに
昼休みになると毎回この屋上にやってきて
俺の側で昼飯を食う。

だのに今回は、手に持った焼きそばパンを
じっと眺めて口にしない。
逆にその姿に俺の方が気になって尋ねてみた。

「どうした。いつも、猿山のお猿のごとく食らいつく
お前が焼きそばパンを見ているだけなんて」

「委員長、知ってる?チキンナゲットって宇宙飛行
しちゃったんだよ」

「知ってるぞ。外国企業が知名度上げるために
チキンナゲットを気象観測用の気球で宇宙へ上げて
1時間程飛行したらしいな」

「それだよ。だったら焼きそばパンも宇宙飛行できるよな。
クラウドファンディングで費用を集めてさ」

俺はほとほと同級生の焼きそばパン愛に
呆れ果てた。

「確かにお前の熱意が通用すればお金が集まって
焼きそばパンも宇宙飛行できるだろう。
だけど他に飛ばすべき物があると思うぞ」

「え、何々!」

「それは『日〇焼そばU.F.O」』だ」

「おお、確かにUFOなだけに宇宙飛行すべきだよな」

「まぁ、既に目標は達成されているがな。
『スペース日清焼そばU.F.O.』として
JAXAの宇宙日本食として採用されているからな」

「なに言っているんだ。仮にもUFO.を名乗る以上
単独飛行をするべきだ!」

「・・・そうか。んじゃあ該当企業の広報に
ご意見広告したらどうだ?
ちなみに株主になると確率はあがるらしいぞ。
本当かどうか保証はないが」

「そっかぁ。俺、バイト増やそうかな」

そう言って奴はようやく焼きそばパンに
かぶりつくのだった。

俺はそれを見てやれやれと思った。


善き事がありますように。

お読みいただきありがとうございました。

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プロフィール

ぷりちーぴ

Author:ぷりちーぴ
はじめましてちーぴ
主に4コマ・
ショートショートを
載せているちーぴ

(↑フィクションです。
実在の人物・団体等とは
関係ございません。
また、『SS』とは
ショートショートの
略として用いております)

地球のどこかで暮らす
宇宙生物ちーぴ。

*4コマの記念日はウィキを
参照しております。




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