SS220729絶体絶命!!13『よそ見運転事故の元』
SS220729絶体絶命!!13『よそ見運転事故の元』 :
「うわ~夏は船での川下りは最高ね♪」
そう言ってはしゃいでいるのは
女魔法使い。
「うひょうっ。すげーここ両岸が崖になっていて
スリル満点だぜ」
これは若いシーフ。
俺は剣士でこの二人とパーティーを組んで
各地の冒険者ギルドの依頼を受けて旅をしている。
「ハハハ、この程度で驚いていたら
命がいくつあっても足りやしない。
あんたら冒険者だろ?
これから行く町のその先に
本当に川幅の狭い難所があって
大きな岩が両岸にそれぞれ埋まっているので
怖いのなんのあったもんじゃねぇさ。
そうだ、確かあんたらが行く町の
冒険者ギルドにある依頼があるはずだから
受けてみたらどうだい?」
そう言ったのは、この船の船長だった。
「おう、なんか面白そうだな」
若いシーフがそう言えば
「そうね、私も賛成よ。次の町で
すぐ冒険者ギルドにレッツゴー!」
女魔法使いがノリノリに応える。
俺はどっちでもいいので黙って頷いた。
「ええ、実はこの川の難所は事故が多くて
困っているのですが、
さらに困っていることがあるのです」
意気揚々と冒険者ギルドに行った俺達に
受付嬢はそう言って話し始めた。
なんでもこの町の川の下流の難所は
デューレライというのだそうだ。
そこの町側の崖の上に
船乗りたちを歌声で誘惑して
船を難破させるという
そう、セイレーンという怪物が
(といっても、女の人魚の姿をしている
そうだが)
住み着いているのだそうだ。
「ということは、難所の上に
その激流の轟音をものともせずに
船乗りを誘惑して船を難破
させるってわけかい?」
若いシーフが尋ねると
受付嬢はうなずいて、
「もちろん対策として
船の乗船員は全員耳栓をして
歌を聞かないようにしているのですが。
まぁそのおかげで操船に集中して
難破船が逆に最近は減っているのですが、
興味本位にセイレーンに陸地側から
近づこうとする輩もいて
困っているんです」
「あっらぁ。だったらそのセイレーン
退治したら報酬がお高いんじゃないの?」
そう女魔法使いが言うと
受付嬢の示した報酬額は破格の値段だった。
すると、若いシーフと女魔法使いが
速攻やりますと言ったので俺はやれやれと思った。
町から川の難所デューレライは乗合馬車で
近くまで行くので、俺達三人は昼ご飯を食べて
偵察に行くことにした。
冒険者ギルドの受付嬢が
耳栓を支給してくれたので
デューレライ近くでそれを耳に装着した。
その前に若いシーフが
セイレーンは、歌に魅了の魔法チャームを
乗せているのではないかと推測。
そこでぎりぎりまでセイレーンに気付かれないように
近づいて、女魔法使いに観察させると
その通りだと親指を立てた。
ならば簡単だ。
セイレーンは俺達が近づいても気にもせず
歌っている。
近づけば近づく程歌の声量は大きくなり
耳栓の限界まで近づいたところで
女魔法使いのチャームを無効化する
幻滅の魔法ディスルーションを
剣士の俺の聖剣エクスカリバーに
かけさせる。
(女魔法使いは威力が低いが
その分、数多くの魔法を使える。
聖剣はその魔法の力を増幅できる)
俺はセイレーンに向かって、
聖剣エクスカリバーを
思いっきり縦に振った。
すると、聖剣から強力な
幻滅の魔法ディスルーションが
セイレーンにぶつかった。
セイレーンも何か異常を感じ取ったようだ。
戸惑っている。
女魔法使いが、また親指を立てる。
作戦が成功した合図だ。
だが、まだもう一つの魔法をかける必要がある。
それは、デューレライの急流の轟音にも
負けない声量を止めなければならない。
セイレーンが取り乱し始めている。
女魔法使いがサイレントの魔法を
聖剣にかけようと呪文を唱えた時、
セイレーンが
「(# ゚Д゚)ーーーーーーーーっ」
対岸の大岩に向って大音響を発した。
岩はその音に耐えられずに
どーんと川に落ちて行った。
俺は急いでサイレントのかかった
聖剣をセイレーンにかけ、
崖に近寄り川を見た。
川はデューレライの狭い難所に
砕けた岩がダムのようになっていた。
そして川が逆流し始めていた。
「大変!町が危ないっ」
女魔法使いが叫ぶのと
俺が聖剣エクスカリバーを
川にある大岩を砕くのに振るうのと
同時だった。
その後、俺達は急いで町へと戻った。
町は水に浸ったがすぐに引いたおかげで
被害は少なかった。
だが、普段そんな被害にあったことの
無い人達は呆然としているのだった。
俺達は取り敢えず冒険者ギルドへと向かい
事の次第を報告した。
そしてセイレーンに
チャームを低めて美しい小鳥の様に歌える魔法、
『小鳥の歌』をかけたので、
あそこを観光地化することを提案し、
報酬は町への見舞金とすることをギルドの受付嬢に伝えた。
・・・・・・・・・・
「あ~あ、今回もただ働きかぁ」
女魔法使いが嫌味たらしく言うと
若いシーフも
「あれだけ働いて、骨折り損のくたびれ儲かよ」
とぶつぶつ言っている。
すると女魔法使いが
「そもそも剣士が大岩が落ちる寸前に
聖剣振るっていればなんの問題
なかったのよ。
そうよ、剣士が悪いのよっ」
若いシーフもジト目で俺を見る。
その後俺はパーティーを追い出された。
解せぬ。
だがこれは事実だ。
俺は新たなパーティーを求めてさすらうのだった。
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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ぽちりと押して頂ければ
望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
「うわ~夏は船での川下りは最高ね♪」
そう言ってはしゃいでいるのは
女魔法使い。
「うひょうっ。すげーここ両岸が崖になっていて
スリル満点だぜ」
これは若いシーフ。
俺は剣士でこの二人とパーティーを組んで
各地の冒険者ギルドの依頼を受けて旅をしている。
「ハハハ、この程度で驚いていたら
命がいくつあっても足りやしない。
あんたら冒険者だろ?
これから行く町のその先に
本当に川幅の狭い難所があって
大きな岩が両岸にそれぞれ埋まっているので
怖いのなんのあったもんじゃねぇさ。
そうだ、確かあんたらが行く町の
冒険者ギルドにある依頼があるはずだから
受けてみたらどうだい?」
そう言ったのは、この船の船長だった。
「おう、なんか面白そうだな」
若いシーフがそう言えば
「そうね、私も賛成よ。次の町で
すぐ冒険者ギルドにレッツゴー!」
女魔法使いがノリノリに応える。
俺はどっちでもいいので黙って頷いた。
「ええ、実はこの川の難所は事故が多くて
困っているのですが、
さらに困っていることがあるのです」
意気揚々と冒険者ギルドに行った俺達に
受付嬢はそう言って話し始めた。
なんでもこの町の川の下流の難所は
デューレライというのだそうだ。
そこの町側の崖の上に
船乗りたちを歌声で誘惑して
船を難破させるという
そう、セイレーンという怪物が
(といっても、女の人魚の姿をしている
そうだが)
住み着いているのだそうだ。
「ということは、難所の上に
その激流の轟音をものともせずに
船乗りを誘惑して船を難破
させるってわけかい?」
若いシーフが尋ねると
受付嬢はうなずいて、
「もちろん対策として
船の乗船員は全員耳栓をして
歌を聞かないようにしているのですが。
まぁそのおかげで操船に集中して
難破船が逆に最近は減っているのですが、
興味本位にセイレーンに陸地側から
近づこうとする輩もいて
困っているんです」
「あっらぁ。だったらそのセイレーン
退治したら報酬がお高いんじゃないの?」
そう女魔法使いが言うと
受付嬢の示した報酬額は破格の値段だった。
すると、若いシーフと女魔法使いが
速攻やりますと言ったので俺はやれやれと思った。
町から川の難所デューレライは乗合馬車で
近くまで行くので、俺達三人は昼ご飯を食べて
偵察に行くことにした。
冒険者ギルドの受付嬢が
耳栓を支給してくれたので
デューレライ近くでそれを耳に装着した。
その前に若いシーフが
セイレーンは、歌に魅了の魔法チャームを
乗せているのではないかと推測。
そこでぎりぎりまでセイレーンに気付かれないように
近づいて、女魔法使いに観察させると
その通りだと親指を立てた。
ならば簡単だ。
セイレーンは俺達が近づいても気にもせず
歌っている。
近づけば近づく程歌の声量は大きくなり
耳栓の限界まで近づいたところで
女魔法使いのチャームを無効化する
幻滅の魔法ディスルーションを
剣士の俺の聖剣エクスカリバーに
かけさせる。
(女魔法使いは威力が低いが
その分、数多くの魔法を使える。
聖剣はその魔法の力を増幅できる)
俺はセイレーンに向かって、
聖剣エクスカリバーを
思いっきり縦に振った。
すると、聖剣から強力な
幻滅の魔法ディスルーションが
セイレーンにぶつかった。
セイレーンも何か異常を感じ取ったようだ。
戸惑っている。
女魔法使いが、また親指を立てる。
作戦が成功した合図だ。
だが、まだもう一つの魔法をかける必要がある。
それは、デューレライの急流の轟音にも
負けない声量を止めなければならない。
セイレーンが取り乱し始めている。
女魔法使いがサイレントの魔法を
聖剣にかけようと呪文を唱えた時、
セイレーンが
「(# ゚Д゚)ーーーーーーーーっ」
対岸の大岩に向って大音響を発した。
岩はその音に耐えられずに
どーんと川に落ちて行った。
俺は急いでサイレントのかかった
聖剣をセイレーンにかけ、
崖に近寄り川を見た。
川はデューレライの狭い難所に
砕けた岩がダムのようになっていた。
そして川が逆流し始めていた。
「大変!町が危ないっ」
女魔法使いが叫ぶのと
俺が聖剣エクスカリバーを
川にある大岩を砕くのに振るうのと
同時だった。
その後、俺達は急いで町へと戻った。
町は水に浸ったがすぐに引いたおかげで
被害は少なかった。
だが、普段そんな被害にあったことの
無い人達は呆然としているのだった。
俺達は取り敢えず冒険者ギルドへと向かい
事の次第を報告した。
そしてセイレーンに
チャームを低めて美しい小鳥の様に歌える魔法、
『小鳥の歌』をかけたので、
あそこを観光地化することを提案し、
報酬は町への見舞金とすることをギルドの受付嬢に伝えた。
・・・・・・・・・・
「あ~あ、今回もただ働きかぁ」
女魔法使いが嫌味たらしく言うと
若いシーフも
「あれだけ働いて、骨折り損のくたびれ儲かよ」
とぶつぶつ言っている。
すると女魔法使いが
「そもそも剣士が大岩が落ちる寸前に
聖剣振るっていればなんの問題
なかったのよ。
そうよ、剣士が悪いのよっ」
若いシーフもジト目で俺を見る。
その後俺はパーティーを追い出された。
解せぬ。
だがこれは事実だ。
俺は新たなパーティーを求めてさすらうのだった。
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