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詩220826ビターなナイフを持つ彼女8

詩220826ビターなナイフを持つ彼女8


隣の席の彼女は鋭い刃物
彼女は心臓にナイフを
握りしめている

【魔】の長い黒髪が
渦を巻いて端から消え去った後
僕は彼女に尋ねた

何故【魔】と戦っているのか

A.
分からない

彼女は自分の左胸に手をあてて
伏し目がちになり
そう答えた

ビターなナイフは人の記憶を食べて
【魔】を切るナイフ
小さな頃からこのナイフは
私の手元にあり
小さい私を侮った【魔】に
攻撃を受けた

小さい私は怖くて怖くて
夢中でナイフを振るった
すると周りの人達の記憶が
少しずつ少しずつ
穴が空いていく
その人の頭から消えていく

ぽつりぽつりと
語る彼女の言葉は重かった

いつの頃か戦闘中に
自分の心臓にナイフが突き立った
私はナイフを抜き取った時
自分の『時』ー寿命を使って
戦えることに気が付いた

その時ナイフを【魔】に一閃させた後
ナイフが心臓にしまえた

僕は彼女を抱きしめた
彼女はピクリと肩を震わせて
僕の肩に手を回した。
僕はそっと彼女の耳に伝える
僕のIQは300ある
だから多少減っても大丈夫、と

彼女はそれを聞いて
僕の目を見た
その目には涙が浮かんでいた

隣の席の彼女は鋭い刃物
彼女は心臓にナイフを
握りしめている





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詩220819ビターなナイフを持つ彼女7

詩220819ビターなナイフを持つ彼女7


隣の席の彼女は鋭い刃物
彼女は心臓にナイフを
握りしめている

「また君?」
夕刻。
僕が教室の扉を開けると
彼女が嫌そうにそう言う

そう言われても
僕は夏休みのこの日
用事があったのだ

彼女は溜息をついて
「仕方ないわね
私の隣へ来て
『餌』になってもらうわ」

その言葉の力に僕には
拒否権がなかった。

昼と夜の境目
一筋の太陽の光が
消える前

【魔】が現れる。

「ほう、魔狩りが『餌』を
用意するとは珍しい
妾が相手をしてやろう」

そう言って現れた【魔】は
床までつく長い黒髪に
黒い喪の着物を身に着けていた

【魔】の黒髪が伸びて『餌』である
僕に絡みつく
白い顔に赤い唇がにたりと笑う

「さてさてわざわざの『餌』の馳走
中を溶かして食そうか。
よいのかえ、魔狩り」

すると彼女は顔を歪めて
苦しそうに心臓からビターなナイフを
取り出した

「ビターなナイフかえ?
それは『餌』の記憶を奪って
我ら【魔】を切り裂く刃
使うかえ?」

彼女はちらりと僕を見る。
そしてぼそりと「使う」と言った。
その一閃
【魔】の首が身体から落ちた

だが【魔】は哄笑する
「妾の体と首を切り離しても
意味はないぞえ
戻るだけ・・・え?戻れない?」

彼女は【魔】の首から髪の毛を切り落とす。
すると、僕に絡みついていた髪の毛が
はらりと床に落ちて消えた

そとでは完全に陽の光が消えて
教室は外の非常灯の灯りのみの
暗さになった

【魔】は完全に闇に溶け込んで消えていた

彼女は言う
「記憶、消えていないから
君、変っているから」

彼女はビターなナイフを一振りすると
自分の心臓へ戻した

隣の席の彼女は鋭い刃物
彼女は心臓にナイフを
握りしめている




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詩220812祭りだ祭りだ

詩220812祭りだ祭りだ  :


祭りだ祭りだ
わっしょい わっしょい
朝顔に彩られた浴衣着て、
それを見た彼は
ふいっと視線を外す
照れているかと手を振りて
似合っているよと呟かれ

誰が買うのかお面売り
ついつい子供心に戻って
狐のお面を手に取りて
買ってみるはいたずら心
手を伸ばして彼の頭に
斜めに被せ
彼はケンケン狐の真似す

林檎飴にかき氷タコ焼き焼きそば
いろいろありて
綿飴売りの前で足止まる
それ見た彼が
一つ買い求め
大きな大きな綿飴を
大きく口を開けて食べてみる
口の中は綿飴の雲が溶けて
甘さが広がり
ふと隣の彼を見ると
苦笑している
綿飴綿飴
彼の口にほおり込み
甘さにむせ返る彼が可愛い

祭りだ祭りだ
わっしょい わっしょい
私と彼は手を握り
踊りに行くよ踊ろうよ
祭りだ祭りだ
わっしょい わっしょい



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ss220805絶体絶命!!14『童話は時に残酷です』

ss220805絶体絶命!!14『童話は時に残酷です』 :


今は次の町へ行くまでの途中で
だだっ広い牧草地帯の道を
歩いて向かっている。
いるのは牛牛牛・・・のみ。
貧乏パーティーにとって馬車なぞ乗ることはできない。
うまく親切な人に拾ってもらえれば御の字だ。

「おーい、あんたら何こんなところを
歩いているんだ?」

後ろを振り返ると、
カウボーイハットを被った
中年の親父が馬を駆けさせて
こちらに向かってくる。
そして馬上から尋ねられた。

俺達は事情を説明し、
あわよくばこの親父が町まで
馬車を走らせてくれないかと
心の中で思った。

親父は馬を降りると、道沿いの柵に
馬をつないでこちらへやってきた。
そして

「そうかぁ。それは大変だなぁ。
歩いて町へ行かなくちゃいけなとはなぁ。
そうだ!あんたら冒険者だろ。
なんか牛の乳を今の倍出す魔法とか
しらねぇか?」

「「「!!!」」」

俺達三人は唐突な依頼に面食らった。
よくよく話を聞いてみると、
牛の一頭の値段が最近高騰しており
今の頭数をそろえるのが精一杯
なのだそうだ。
だが、今はミルクの値段があがっており
丁度今の二倍のミルクを町で売れば
結構な儲けになるそうだ。

「へへへ、それだったら
牛を今より大きくすれば
いいんじゃないですかねぇ」

若いシーフが揉み手をして
親父に提案をした。
すると親父が思案気に

「なるほどぉ。牛が大きくなれば
それだけ沢山ミルクが出ると
いうわけだな」

「そうです、そうです。
うちの魔法使いの魔法で
牛が大きくなるようにしますんで。
成功しましたら報酬を弾んで
下さいよ」

「ちょっと、勝手なこと言わないで・・・」

すると、欲に目のくらんだ若いシーフが
ギロリと女魔法使いを睨んで、
そしてにっこりさわやか笑顔で

「やってくれるよな♪」

と言った。
女魔法使いはしぶしぶ

「分ったわよ。やるから牝牛ちゃん達を
集めてちょうだい」

と言った。
すると親父は喜んで馬に乗り、
あっと言う間に牝牛たちを集めてきた。

「じゃぁ剣士。魔法をかけるから
聖剣エクスカリバー出してくれる?」

「ほう、その剣に名前をつけているのかぁ。
牛に名前をつけるのといっしょだなぁ」

俺はもう少しでのけぞるところを
なんとかこらえた。
若いシーフと女魔法使いは肩で笑っていた。

俺は、聖剣エクスカリバーを斜め下に構え、
女魔法使いが、牛を大きくする魔法、

「それではいきます!
牝牛ちゃん大きくなぁれ『グロー』っ」

と唱えると聖剣に魔法を纏わりつかせた。
俺は聖剣を牝牛たちに向かって振るった。
すると一陣の風が牝牛たちにかかった。

すると、牝牛たちはむくむくと大きくなり
象程の大きさになった。

「お、おおこれ程の大きさになったら
乳の量も半端ないなぁ」

親父もびっくりしながらも
大喜びした。

ところが、ここで大変な事が起きた。
象程も大きくなった牝牛たちが
根こそぎ牧草を食べ始め
広範囲な牧草地帯が土だらけに
なってしまったのだ。
それに、確かに牝牛達のミルクの量は
半端ないのだが、搾るのに人出が足りず
入れる容器も足りないという
問題が発生したのだ。
牝牛たちは早く乳を搾ってくれと
催促をする。

このままでは、ミルクの量が多すぎて
値崩れを起こすと
ついに根を上げた親父が
牝牛たちを小さくしてくれと言い出した。

女魔法使いがジト目で若いシーフを見る。
シーフは明後日の方向を見て口笛を吹く。
溜息をついて女魔法使いは、呪文を聖剣に
向かって唱えた。

「はぁ、それではいきます!
牝牛ちゃん小さくなぁれ『シュリンク』っ」

すると、今度は牝牛たちは
鼠ほどの大きさになってしまって、
全員呆然としてしまったのだった。
とりあえず、怒り心頭の親父の眼光に
俺と女魔法使いは、何度も
大きくなぁれ、小さくなぁれと
呪文を唱えて、剣を牝牛たちに振り
やっと程よい大きさになった時は
とっぷり夜になっていた。

俺と女魔法使いは疲労困憊した。

「まぁ色々ありましたけれど
ミルクの量がたくさん採れたのですから
お代を払っていただけませんかねぇ」

すると親父が

「この大きくなった牝牛たちが
牧草を食べつくしてしまったから
牧草の種を撒いてきたぁ。
後は魔法で、雨を降らして
牧草を生やしてくれかなぁ」

言い方はのんびりしているが
目は笑っていなかった。

「あたしのMPあと少しなのにぃ」

そういう女魔法使いを宥めながら、
女魔法使いはやけくそで

「雨よ降れ!『レイン』っ」

聖剣に呪文を纏わせた。
俺は天に向かって呪文を放った。
そして雨が降り牧草地帯は・・・
牧草のジャングルと化した。

とりあえず牛たちは食べているので
良かったことにしよう。

だが、報酬から余計に使った
牧草の種代を引かれた。

・・・・・・・・・

俺達は疲れた体を引きずるように
町へと向かった。
そして何故か

「大体剣士が牝牛たちの大きさを
調整できないのが悪かったのよ!」

と、いきなり切れた。
それに若いシーフも同調し、
俺はパーティーを追い出された。

解せぬ。
だがこれは事実だ。
俺は新たなパーティーを求めてさすらうのだった。



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ぷりちーぴ

Author:ぷりちーぴ
はじめまして
主に4コマ・
ショートショート・
(↑一部を除いて
フィクションです。
実在の人物・団体等とは
関係ございません)
俳句(偉人の人生を詠んでいるちーぴ)
を更新しているちーぴ
日本に暮らす宇宙生物
ちーぴ。

*4コマの記念日はウィキを
参照しております。




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