来年の母の日のプレゼントは決まったよ:ss
180527 来年の母の日のプレゼントは決まったよ:ss
「母の日か・・・」
俺は遠い目をした。
俺の母親は田舎に住んでいる。
人間より猪や猿や鹿が多い地域だ。
歳をとったから、一緒に暮らそうと言ったのだが、
慣れ親しんだ故郷から離れられないと
細々と暮らしているはずだったのだが。
母の日の前の1週間前に電話をしたら
「母の日に何か欲しいものない?」
と尋ねたら、
「お前らが元気に暮らしていれば
それがプレゼントだよ」
と健気な答えに、さすがの俺も
母の日に帰る事にした。
駅に降りて自宅へ向かう。
家について玄関を開ける。
「田舎だからって最近は物騒なのに」
鍵をかけるように言わないとなと思い、
荷物を玄関に置いて
庭へ回る。
庭と言っても畑が広がっている。
ふぅ。
俺は深呼吸をして心地よい風に
身を任せた。
すると、すぐ側から、ザザァっと
何かが立ちあがった。
「うおぉぉぉ熊かぁああ」
俺はフリーズした。
立ちあがったそれは雑草に覆われていた。
「息子や、ワシじゃ。オカンじゃ」
「え、オカン。ってその姿は?」
オカンの顔は迷彩色に塗られていた。
「お、オカン。何しているん」
俺が尋ねると、
「いやぁ、熊や猿や鹿とか猪がくるから、
暇があればこうして隠れて
やつらが来たらこのモデルガンで
撃つんじゃよ」
そう言ってガハハハと笑った。
・・・俺は次の母の日にBB弾を贈ろうと
決意した
了
- 関連記事
-
-
遥か彼方の時間を経て:ss 2018/06/01
-
押しかけ花嫁現代版:ss 2018/05/31
-
来年の母の日のプレゼントは決まったよ:ss 2018/05/27
-
影のキューピッド:ss 2018/05/23
-
熊の子の母の日:ss 2018/05/17
-