180626銀河は真紅の流れを：ＳＳ

180626銀河は真紅の流れを：ＳＳ
「全軍左右に散れっ」

若い女性宇宙軍提督が号令する。

それと同時に艦隊が各々の判断で

左右に別れ漂流するデブリに隠れる。

敵艦隊の前面に船上となっている惑星の

リング帯ぽっかり空いた宙域が目の前に

広がる。

その後方から、追撃していた敵星系の

別動宇宙軍艦隊が砲撃をかけて

その空域に押される。

囲まれた。

敵艦隊が全てその空域に押し込まれた所で、

若い女性宇宙軍提督は、

「撃てーっ」

全軍デブリを空白域に埋め尽くすが如く

砲撃した。

「敵艦隊全滅」

ふぅっとその女性提督は息を吐く。

（こうしてまた命をつないだ。

幾千万の命とひきかえに）

だが、彼女に後悔はない。

殲滅しなければ、消えるのはわが祖国。

愛しい人のちょっととぼけた笑顔を

失いたくはない。

彼女は胸元を押さえた。

服の下には、わずかな鼓動にさえ反応して

その石を揺らめかせるネックレスがある。

（さぁ、帰ろう。彼の元へ）

彼女は帰還の号令を全軍に下した。

了

宇宙雑貨ぷりちーぴ
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