180724「この夏の楽しみは何ですか？」と執事が聞くので：ｓｓ

FC2 トラックバックテーマ:「この夏の楽しみは何ですか？」

180724「この夏の楽しみは何ですか？」と執事が聞くので：ｓｓ

「お嬢様、この夏は何をお楽しみですか」
１０時のお茶の時間に私の執事が尋ねるので、
「そうねぇ。いつもは軽井沢の別荘に参りますけど・・・
そうですわっ私アルバイトというのを
しようと思うのですけれど」
「却下します」
「秒殺ですの。だって、夏休みと言えば
学生は社会勉強も兼ねてアルバイトをするものと
お友達と話しておりましたのよ」
すると、執事がこめかみを押さえて
「宜しいですか、お嬢様。仮にも財閥令嬢である
お嬢様が、警備のしがたい不特定多数の出入りする場所で
働くなどありえないことです。
ちなみに参考までにどこにお勤めなさりたかったのですか」
「ええと、ファーストフード店でスマイル０円を売りたいと
思いましたの」
「お嬢様！お嬢様の笑顔は値千金です。
その笑顔は将来の御夫君とお子様に向けられるものです。
なりません、絶対に！」
執事があまりにも語気を強めて言うので
思わず私は涙ぐみました。
「ふぉふぉふぉ、執事君。あまりお嬢様を
無下にあつかってはなりませんよ」
「む、爺や殿。しかしこればかりは譲れません」
「なに、ファーストフード店なら、ほれ。
以前敷地内に建てたではないか」
「そう言えば、以前私がファーストフードを
食したいと申した時、建てて下さいましたわね」
爺やがやさしく私の手をとって、
「お嬢様。執事は大切なお嬢様を危険にさらしたくないのです。
ですから、ここは一つ折衷案と行きませんかのう」
こうして爺やの提案で、
私とお友達が店員をする
敷地内のファーストフード店パーティーが
開催されたのです。
もちろん、でるお食事はうちのシェフが腕をふるったもので、
大層お客さまに喜ばれました。

「うう、お嬢様。ご成長なされて」
「執事君、君涙もろいね」
「爺や殿は手厳しすぎます」
「ふぉふぉふぉ、獅子は我が子を千仭の谷に
落とすと申します。
お嬢様を鍛えるのも使用人たる我々の務めですぞ」
「はい、肝に命じます」

「爺やぁ。執事ぃ、こちらにきて注文なさいません事ぉ」
「ほら、お嬢様がお呼びです。行きますぞ執事君」
「はい！爺や殿」
了




HP