190419俺と隣の吸血鬼さんとおにぎりについて
190419俺と隣の吸血鬼さんとおにぎりについて
「ただいま~」
「あ、お帰りなさい」
俺がアパートの部屋に帰ると、
ひよこのアップリケがついた
ピンクのエプロンを着た
襟足まで届く天使の輪つきの
黒髪青い瞳のイケメン吸血鬼さんが
出迎えた。
そう、隣に住む吸血鬼さん。
ひょんな事から知り合った俺達は
俺が食事提供(献血)をする事で
家事一切を吸血鬼さんがする
契約を結んだ。
なんでもコンビニ食で命をつないだ
血液は不味いんだそうな。
しかも食事(献血)をした吸血鬼さんは
目からルビーを出して
その分け前の半分をくれる太っ腹。
おかげで俺はそれまで勤めていた
ブラック企業をおさらばして
定時出社退社有給まるまる取れる上に
土日祝日は確実に休みの
ホワイト企業に転職。
おかげで健康優良児にすっかりなってしまったのだった。
「それで吸血鬼さん、
今日のおにぎりおいしかったですよぉ。
会社でも彼女の手作りかとか冷やかされて、
ごまかすのが大変でしたよぉ」
すると、俺から空の弁当箱を受け取った
吸血鬼さんがほほ笑んで、
「それは良かったです。
今日のおにぎりの具は、知り合いからいただいた
キャビアですからね」
俺はネクタイを外す手を止めて
「あれキャビアだったの?
おれ、てっきり黒いイクラだと思ってた」
すると、吸血鬼さんがズルっと全て体を傾けたが
すぐに体勢を立て直して、
「黒いイクラって・・・折角高い具材を入れたのに
あなたには猫に小判でしたね」
「ごめんごめん。イカ墨で着色しているのかと
思ったんだ。でもおいしかったよ」
すると吸血鬼さんが額を手で押さえて
「今度からあなたのおにぎりの具材は
梅干しでいいですか」
「き、吸血鬼さん?イケメンはどんな顔をしても
イケメンだけど、俺、日本人だから梅干しには
うるさいの。紀州梅の高級品にしてね♪」
「・・・わかりました。今度のおにぎり、
スーパーで買った安売り梅干しと
高級紀州梅の二つを握りますから
当てて下さい!それによって
あなたのお弁当の単価が変わります!」
「え~そんなぁ。
いつも最高級のお弁当がいい!
お願い、味音痴な俺に
グルメを教え込んでぇ」
「作る側の身にもなって下さいっ」
こうして俺と吸血鬼さんの
お弁当を巡る攻防戦が続いたのだった。
了
- 関連記事
-
-
190427俺と隣の吸血鬼さんと季節限定品 2019/04/27
-
ss190421俺と隣の吸血鬼さんと夕日に向かって 2019/04/21
-
190419俺と隣の吸血鬼さんとおにぎりについて 2019/04/19
-
ss190417俺と隣の吸血鬼さんの奮闘記 2019/04/17
-
190403ss俺と隣の吸血鬼さんと桜さん 2019/04/03
-