ss191002奥様は魔女と消費税
ss191002奥様は魔女と消費税
ガチャリ
俺はそうっと玄関の扉を開ける。
そして抜き足差し足歩いて
2階の自分の部屋へ行こうと
階段の1段目に右足を置いた時・・・
パチっ
廊下のライトが灯る。
後ろを振り向くと、そこには奥様が。
「あなた、お帰りなさい。
で、なんで今日はただいまの挨拶もしないで
しかも2階へ行こうとしているの?」
俺は観念して、手に持っていたビニールで
できた袋を奥様に見せる。
「あなた、これって・・・ガン○ラね。
しかもこれってネットで出ていた
不人気ガン○ラベスト10なんじゃないの」
奥様はあきれたように言う。
「お前よく覚えていたな。
いやぁ。実はこれ、消費税分割引になって
いたんだよ。それでも売れ残っていて
あまりにも不憫でつい」
「ガン○ラは犬猫じゃないのよ。
とにかく、それ、魔法で本の中に収納するから
貸して」
そう、奥様は魔女なのだ。
「サンキューな。お前が魔女なおかげで
収納問題で家庭争議にならなくて済むもんな」
すると奥様が苦笑して、
「そうね。あたしが普通の主婦だったら
たまっていくガン○ラに怒り心頭になってるわね。
それで、『あたしとガン○ラ』どっちが大事なの?
って言ってるわね」
「ああ、それは永遠に答えられない謎かけだ。
でも、君も趣味をみつけてくれて、
しかも、ガン○ラのベアアッ○イを手芸で
作るようにしてくれただろう。
工夫してくれてありがとうな」
「ふふ、あなたも制作時間を決めて
あたしとの時間も大切にしてくれているもの。
だから、隠さなくていいのよ」
「いや、これはその不人気なガン○ラまで
買うのかって呆れられるのが恥ずかしくて」
「全く。だったら買わなければいいじゃない」
「いや、だって消費税割り引かれても
売れ残っていたから」
俺達はそんな話をしながら2階へ行くのだった。
了
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