FC2ブログ

ss200923レベル1のヘルゲート「仮面の着用は止めて下さい」

ss200923レベル1のヘルゲート「仮面の着用は止めて下さい」:

「あ、虫の音」

俺は出前の配達の愛自転車を
漕ぎながらつぶやいた。

夏から秋へ季節は確実に移っている。
あれだけ鳴いていた蝉の声も
今は途絶え、秋の虫が合唱を楽しませてくれる。
「田舎のじぃちゃんばぁちゃん元気かな」
郷愁を漂わせるのは仕方がない。

俺は食堂にたどりつく。
自転車を片づけ店に入り、
「ただいま戻りました」と店長に声をかける。
「おう、ご苦労さん。賄い飯食べろよ」
と店長がぼそりと言う。
その声に応えながらそっとつぶやく。
「いつになったら俺の世界に帰れるんだろ、はぁ」
あ、俺、唯の出前のバイトだけど、
今いる世界、地球じゃなくて異世界ナンデス。

いやぁ、最初は困ったよ?
何しろここはどこ?家はどこ?腹減ったどうしよう
と悩んでいたら、
この世界では異世界人って結構出現するらしく、
対応ばっちりお役所仕事サクサク進んで
家も職ももらえて、一応元の地球の移転時間に
合わせて戻れるよう確認してくれるという
親切ぶりだった。

で、紹介された職が住み込みの食堂の出前持ち。
この世界って、魔法があるけれど
一般人はそんな大して使えない世界。
まだ馬車が活躍している生活水準なのに、
何故か自転車はあった。
何故だ?文明の発展手順が違うくね?
と思ったけれど、どうやら
俺より以前に異世界転移しちゃった人が
魔術師と協力して根性で作り上げたらしい。
でも、庶民にとってはちょっと手を出すのは
ためらう値段なのに、
何故か店長が持っていて、
俺に出前の時に使えと貸してくれた。
ただし、出前の中身がこぼれない装置は
開発してくれてなかったので、
俺は店長のシゴキじゃなくて猛特訓で
中身をこぼす事無くお客さまに届ける
事ができるようになった。

「で、店長。次の出前先はどこですか?」
おれは賄いの飯を食べ終えて店長に尋ねた。
「おう、いつもの『ヘルゲート』だ」
俺の身体に緊張が走る。
「王立魔術学院ですね」
「そうだ。そこへ出前だ」

ー王立魔術学院。そこは偏屈魔術師の集まりだった。
本来、国の一機関に出前を届けるのに
身構える必要はない。
だが、そこは偏屈魔術師の巣窟。
自分の魔術を使いたくてたまらない連中の集まりだ。
裏門?怪しげな魔術道具が所狭しと置かれていて
いつ何が発動するかわからない道を通れるのは
魔術に精通する業者でないと危なくて仕方がない。
それでもこの国ではレベル1の穴場と言われている。
  正門は「休戦協定」というやつが発動しないと
一般人は通れない。
それなしで唯一出前を届けられるのがこの俺だ。
「アイサー、出前はこれですね。
届けてきます」
「おう、気を付けてな、と
その前にこの装備を持っていけ」
そう言って店長が出したのは
ペンタイプの槍だった。
「諜報部員からの連絡だ。
今回の敵にはこれが役に立つらしい。
胸元のポケットに差しておけ」
そう店長は言ってお玉を振って
行けと合図する。
俺は愛自転車にまたがり
出前へと疾走した。

そうして王立魔術学院の正面ゲートに
到着した。

「ふふふ、待っていたよ。
この僕に勝てるかな?」

・・・・俺はあんぐり口を開けた。
そこにはヘルメットに角がついて
目元を隠した仮面を被って、
ご丁寧に赤い軍服を着ている
ハスキーボイスの少女がいた。

「はぁあ?赤い彗星ぃ?」

俺が思わず叫ぶと

目の前の少女は、ふっと笑って

「いい二つ名を付けてくれたものよ。
よし、今からその名を名乗ってやろう」

なんか動作が某宝○の男役みたいだと思いながら

「いや、女性ならそこはキ○リア様じゃ
ないのか」

「?キ○リア様とは何者だ?
この服装は高名な異世界人の勇者が
デザインした物だ。
私は土魔法を操る。
さぁ、デマエ二スト君。
そこのゲートから王立魔術学院の玄関まで
たどり着くことができるのかな。
やれるものならやってみたまえ」

そう彼女が言うと
地面が持ち上がり、人型をとり始める。
それは・・・・

「うわぁ きどう○んしがん○むだぁ」

思わず全部平仮名で叫ぶ程あきれ果てた。

「ふふふ、この『むだんがしんせう土器』は、
かの高名な勇者が開発した呪文で発動するのだ。
さぁ、『むだんがしんせう土器』よ
デマエ二ストを倒すのだっ」

「俺にデマエ二ストなんて変な
二つ名をつけるなぁっ
俺は単なる出前持ちだっ」

何が悲しゅうてデマエ二ストなぞ

言われなければならないのか。

とにかく、なんちゃら土器の攻撃を

右に左に除けながら、倒す機会を伺う。

すると丁度、なんちゃら土器が振り下ろした

右腕が地面に食い込んだ。

しめた!俺はその瞬間を逃さなかった。

なんちゃら土器いや、『むだんがしんせう土器』の

右腕を愛自転車ごと駆け上った。

そして、胸ポケットから店長からもらった

ペン型槍を『むだんがしんせう土器』の

額に向かって投げつける。

すると、ペン型槍は光を放って大きくなったかと思うと

丁度額に刺さり、『むだんがしんせう土器』は

亀裂がはしりはじけ飛んだ。

俺は、その破片をひょいひょい避けながら

王立魔術院の玄関へとたどり着いた。

「ちわー。管理人さん、出前一丁届けにきましたぁ」

・・・・

俺は出前を管理人さんに渡して空の器と代金を受け取り

愛自転車にまたがった。

そしてふと横を見ると、

赤い彗星のコスプレ?をした少女がうずくまっていた。

さすがに心配になり、助け起こすと

金髪碧眼の美少女がそこにいた。

「おい、しっかりしろ」

俺がそう言うと彼女は顔を触って

片手で顔を隠し、

「よくも僕の顔を見たな。
掟で顔を見られたらその者を
始末しなければならない。
覚悟しろ、デマエ二ストぉ」

そう言ってレイピアを繰り出してきた。

俺は愛自転車に乗って通常の三倍速で

王立魔術学院を後にした。

そしてふらふらになりながら、

「何が悲しゅうて顔見たからって
命狙われるなんて。番組ちがうだろ」

とつぶやきながら自転車を漕いだ。

夕刻になると風もヒンヤリしてくる。

「くしゅん」とくしゃみをして

店へと向かうのだった。



善き事がありますように。

お読みいただきありがとうございました。

宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
関連記事

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

ぷりちーぴ

Author:ぷりちーぴ
はじめまして
主に4コマ・
ショートショート・
(↑一部を除いて
フィクションです。
実在の人物・団体等とは
関係ございません)
俳句(偉人の人生を詠んでいるちーぴ)
を更新しているちーぴ
日本に暮らす宇宙生物
ちーぴ。

*ブログに掲載している
商品や値段は
変更されていたり
終了している事が
ございます。
ご了承のほど、
宜しくお願いします。
*4コマの記念日はウィキを
参照しております。




にほんブログ村 漫画ブログ 4コマ漫画へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村

にほんブログ村 家族ブログ 仲良し家族へ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村




宇宙生物ぷりちーぴ - にほんブログ村

HP 宇宙雑貨ぷりちーぴ
💛宇宙雑貨ぷりちーぴ💛
あなたの人生にフィットする
奇妙でCOOLな雑貨たち
↓自分へのご褒美に
プレゼントにぴったりな
アクセや雑貨を
ご紹介しております。
💓服福商品販売中!!👇💓
HP宇宙雑貨ぷりちーぴバナー
→TOP


→アクセ&Tシャツ

→ユニバース

→ガンダム
(ガンダム着こなしご提案)


→コミック遠野
(4コマ遠野旅行有)


→アマビエ

↑現在上記以外のページは
ございません。
又、ショートショートも
掲載しておりません。
ご了承の程宜しくお願い申しあげます。
カウンター
作品にインスパイアを受た商品ご紹介
最新記事
俳句
カテゴリ
月別アーカイブ
コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる