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ss200929レベル1のヘルゲート「お人形は可愛いですか」

ss200929レベル1のヘルゲート「お人形は可愛いですか」

「みんな着込み始めたなぁ」

俺は出前の配達の愛自転車を
漕ぎながらつぶやいた。

夏は既に過ぎ去り
陽射しは微笑みを投げかける
優しさとなり
愛自転車のペダルを踏むと
涼しい風を顔に受ける時期となった。

俺は食堂にたどりつく。
自転車を片づけ店に入り、
「ただいま戻りました」と店長に声をかける。
「おう、ご苦労さん。賄い飯食べろよ」
と店長がぼそりと言う。
その声に応えながらそっとつぶやく。
「いつになったら俺の世界に帰れるんだろ、はぁ」
あ、俺、唯の出前のバイトだけど、
今いる世界、地球じゃなくて異世界ナンデス。

いやぁ、最初は困ったよ?
何しろここはどこ?家はどこ?腹減ったどうしよう
と悩んでいたら、
この世界では異世界人って結構出現するらしく、
対応ばっちりお役所仕事サクサク進んで
家も職ももらえて、一応元の地球の移転時間に
合わせて戻れるよう確認してくれるという
親切ぶりだった。

で、紹介された職が住み込みの食堂の出前持ち。
この世界って、魔法があるけれど
一般人はそんな大して使えない世界。
まだ馬車が活躍している生活水準なのに、
何故か自転車はあった。
何故だ?文明の発展手順が違うくね?
と思ったけれど、どうやら
俺より以前に異世界転移しちゃった人が
魔術師と協力して根性で作り上げたらしい。
でも、庶民にとってはちょっと手を出すのは
ためらう値段なのに、
何故か店長が持っていて、
俺に出前の時に使えと貸してくれた。
ただし、出前の中身がこぼれない装置は
開発してくれてなかったので、
俺は店長のシゴキじゃなくて猛特訓で
中身をこぼす事無くお客さまに届ける
事ができるようになった。

「で、店長。次の出前先はどこですか?」
おれは賄いの飯を食べ終えて店長に尋ねた。
「おう、いつもの『ヘルゲート』だ」
俺の身体に緊張が走る。
「王立魔術学院ですね」
「そうだ。そこへ出前だ」

ー王立魔術学院。そこは偏屈魔術師の集まりだった。
本来、国の一機関に出前を届けるのに
身構える必要はない。
だが、そこは偏屈魔術師の巣窟。
自分の魔術を使いたくてたまらない連中の集まりだ。
裏門?怪しげな魔術道具が所狭しと置かれていて
いつ何が発動するかわからない道を通れるのは
魔術に精通する業者でないと危なくて仕方がない。
それでもこの国ではレベル1の穴場と言われている。
  正門は「休戦協定」というやつが発動しないと
一般人は通れない。
それなしで唯一出前を届けられるのがこの俺だ。
「アイサー、出前はこれですね。
届けてきます」
「おう、気を付けてな、と
その前にこの装備を持っていけ」
そう言って店長が出したのは
何かがラッピングされた袋だった。
感触からして人形のようだ。
「諜報部員からの連絡だ。
今回の敵にはこれが役に立つらしい。
取り出しやすい所にしまっておけ」
そう店長は言ってお玉を振って
行けと合図する。
俺は仕方がないので前かごの
空いてる所にラッピングされた袋を押し込んだ。
そして俺は愛自転車にまたがり
出前へと疾走した。

そうして王立魔術学院の正面ゲートに
到着した。

「ふふふ、待っていてよデマエ二スト」

「・・・」

俺はどうリアクションしていいのか分からなかった。

うん、なんというか、左目にななめに包帯をして
黒髪にはフリルのレースがついた黒布の帽子を
被り、黒いリボンで首の前で結んでいる。
更に、長袖の黒いゴスロリのドレスを着ているのだが、
丈はミニで、足には黒いリボンをたくさんつけた
タイツを身につけて黒い靴を履いている。
そして腕にはアメリカのホラー映画赤毛の人形そっくり
なのを抱いているナーイーフ持ってるぅ・・・・。
おかーさーん。助けてぇええええ。
ハッ。ついお袋に助けを求めてしまった。
いかんいかん。俺も漢だ。ここは穏便に

「すいませぇん。
通していただけないでしょうーかー(びくびく)」

そう頼み込んだ。今だったらスライディングDOGEZAも
厭わないぞぉ。

すると人形遣いのゴスロリ美少女はふっと鼻先で笑って、

「お行きチャッピー。そのナイフでデマエ二ストを
三枚おろしにするのよ」

うわーん話通じねぇ。俺は必死になって愛自転車を操り
凶悪な人形のナイフを避ける。
そうしているうちにだんだん腹が立ってきた。
それと共に人形の動きも読めるようになった。

そして人形が攻撃をしてきたと同時に
奴の頭をがしりと左手でつかんだ。
そして思いっきり後ろへぶん投げた。

「きゃぁ」
そう言って人形遣いのゴスロリ美少女が前方に
倒れた。
よく見ると人形遣いのゴスロリ美少女と
人形の間には何かの糸というかピアノ線
みたいなのでつながれている。
俺は愛自転車を降りて、
人形のナイフでその糸を切った。
そしてにっくき人形を愛自転車の前輪で
ぐりぐりと壊してやった。

「きゃぁあ。チャッピーに何するの。
チャッピーはわたくしの大切な友達なのよ」

「友達選べよ。てか生きている人間
友達にした方がいいと思うぞ」

と言った時に俺はふと店長に渡された
ラッピングされた袋を思い出した。
「ま、まぁ。お前の人形壊したのは悪かったよ。
ほらこれ、多分人形だろうからこいつで
勘弁してくれ」

そう言ってラッピングされた袋を
人形遣いのゴスロリ美少女に渡した。

彼女は泣きながら中から人形を出した。

「くまちゃん?いえ、これはべ○ッガイ」

そう彼女がつぶやくと、

彼女の周りが白く光り出した。

俺はまぶしくて目をつぶった。

だが、一向に光は収まらない。

・・・飽きたので

王立魔術学院の玄関まで行って

「ちわーす。管理人さん出前持ってきましたぁ」

すると玄関のドアが開いて、

管理人さんがにっこり笑って

「いつもお疲れ様。はい、これお代と
空の容器ね。気を付けて帰ってね」

と言われた。

・・・癒される。俺はすさんだ心が浄化されるようだった。

そして、その頃には人形遣いのゴスロリ美少女の

光も収まっていた。

そこには俺でも分かる。

聖母教会の巫女さんや聖女様が身にまとう

オーラを放っている人形遣いのゴスロリ美少女がいた。

俺は思わず見惚れた。

聖なる光ってこんなに慈愛に満ちて温かくてやさしいんだ
てーっ

俺は地べたに人形遣いのゴスロリ美少女を

立たせようと手を差し伸べた時

石につまずいたのだ。

そして盛大に前方に転んで

がしりと掴んだのは・・・掴んだのはささやかな・・・

「いやぁああああへんたーいっ」

「ち、ちがうこれは不可抗力で!」

「おいきべアッ○イっ
あの変態を倒すのよ」

俺はべ○ッガイの攻撃砲撃射撃を
避けながら愛自転車に乗って
王立魔術学院のゲートを出たのだった。

「ぐすん、折角素敵な美少女になったから
お友達になりたかったのに。
俺のバカというか石のバカ・・・」

「何をぶつぶつ言っているの。
出前のお兄ちゃん」

気付くと俺は焼き鳥屋の前にいた。

「なんかボロボロじゃないの。
出前持ちってたいへんなんだねぇ。
ほら、焼き鳥一本だけどサービスしとくよ。
元気だしな」

俺は優しいその言葉にお礼を何度も言って、
店へと向かった。

焼き鳥屋の娘が
「いつになったら胃袋掴めるかな」
と呟いていたのを知らないのだった。



善き事がありますように。


お読みいただきありがとうございました。

宇宙生物ぷりちーぴm(__)m


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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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