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ss220902 白紙20

ss220902 白紙20  :


ぽたり・・・。
まだジリジリと夏の女神が
大気を支配する今日この頃。
その極彩色の世界と隔絶した
冷房の効いた書斎の中で
なぜか若い頃愚妻に贈った
白いハンケチを思い起こさせる
原稿用紙の上に、
吾輩の汗が落ちたのは何故だろう。

コンコン。

「あなた、入りますよ。
あらあら原稿用紙が真っ白なこと。
練乳をかけたかき氷にも
赤いさくらんぼが添えてあるというのに。
まぁ、お茶でも飲んで休憩されたら
いかがですか」

うるさいと言う言葉を吾輩は
胸の内に飲み込んだ。
ここで喧嘩になっては
さらに掴めそうな小説のアイディアが
遠くへ飛んでいきそうな
気がしたからだ。

愚妻はお茶と茶菓子を
机の端に置きながら

「編集さんは今度はどんな
ご無理をおっしゃったのですか」

「うむ、なんでも七十代の老婦人が
異世界へ行って、
二十代から八十代までの複数の男性に
想いを寄せられるという・・・」

「あらあら、孫娘がはまっている
乙女ゲームのようですねぇ」

「いくらなんでも七十代のヒロインが
読者に受け入れられるのかと懸念を
編集者に伝えたのだが、
奴は大丈夫と胸を張って答えよった」

「あら、老人ホームでも複数の男性に
想いを寄せられるご婦人がいらっしゃる
そうですよ」

「だがなぁ、二十代から五十代とは
話が合うのだろうか」

「大丈夫。そこはあなたの腕の奮いようでしょう。
いつもあなたは編集さんのご無理を
乗り越えて来たではありませんの」

「う、うむ。そう言われると弱いのだが。
しかし、なんか一人の女性に複数の男性が
想いを寄せるというのだけでは弱いの。
そうだ!それぞれ弱点をつくらねば。
やっぱり、八十代は骨粗しょう症で
七十代は糖尿病で六十代は尿結石で
五十代は男性更年期障害ということで
若い連中と介護をしながら
魔王を倒すというのはどうだろうか」

すると愚妻はにっこり笑って

「あなた、私、今お盆を手に持っているのですけれど」

・・・・・。

「女性の夢をぶち壊さないで下さいな。
現実の介護に疲れていらっしゃる方々の
希望となるような作品をお書きになって下さいね」

そう言って愚妻は部屋を出て行った。
確かに設定に個人的な嫉妬が
入ったのかもしれぬ。
ここは歳をとっても病を抱えていても
愛や恋を忘れぬ老人達を
へなちょこ若人に劣らぬ活躍をさせて
世の女性陣を幸せにする作品を
作るとするか。

こうして吾輩は、一人の老婦人が
複数の20代~八十代までの男性に
想いをよせられる、しかし
ちょっぴり個人的な
嫉妬の混じった作品を
ちまちまと書き上げるのだった。





善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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