ss230120 大寒卵
ss230120 大寒卵 🐓
「う~さぶい」
カチコチカチコチ。
今時珍しい我が家の鳩時計が十一時を告げる。
これは同棲している健太が
骨董市で買ってきたものだ。
趣味のマラソンのついでに寄って。
健太を例えるなら犬だろう。
そんな私は猫。
二人ともテレワークで、
昨日の夜仕事を終えて炬燵で鍋をして
私は一杯やった気持ちよさで
そのまま炬燵で眠ってしまったのだ。
起き上がろうとすると
「半纏・・・」
そう、健太の青い半纏が
ずるりと私の上半身から落ちる。
炬燵の上を見れば
きれいにかたづいている。
外のベランダでは
洗濯ものが気持ちよさそうに
冬晴れの中をユラユラ揺れている。
炬燵の上をもう一度見ると
”走ってくる”
と書かれたポストイットが張ってある。
ありがたや本当に良き彼氏をゲットした
私を褒めてやりたい。
・・・などと言おうものなら
母親に、返品不可だからねと
言われた言葉を思い出した。
私は頭を振って、いかんいかん
正月はもう終わったのである。
堕落した生活をして愛想をつかされたら
返品先はない。
などと考えて炬燵からえいやっと出ると
部屋の空気があたたかい。
エアコンがついている。
「健太、どこまでできる子なの」
私は健太を育てた親御さんに感謝した。
その時ガチャリと玄関の鍵が開いた。
「ただいま、あれ?亜子起きてたの」
「う、うん。起きてたよ」
「ハハハ、随分良く寝たな」
「そ、そんなことないよ。
随分前に起きていたよ」
「分かった分かった。
それよりさ、いつものマラソンコースを
ちょっと変更して走っていたら
丁度農家の朝市に出くわしてね」
そして右手をあげて卵パックの入った
ビニール袋を見せる。
「卵?普通にスーパーにいけばあるよね?」
「それが違うんだな。
今日は一月二十日で
今年の二十四季節の大寒だろ。
大寒の日に産まれた卵を
大寒卵(だいかんたまご)と言って、
食べると子供だったら丈夫になるし、
大人だったら金運が良くなるんだって」
「健太、えらい!それは早速食べないと。
何にしようか」
「そうだな。俺、亜子の作ったオムライス食べたいな。
もう昼だし、走ったら腹減った」
「そうだね。作っておくからシャワー浴びてきたら」
「うん、じゃぁ卵よろしく♪」
「まかされましたぁ」
こうして私は顔を洗うのもそこそこに
オムライスを作るために台所へ向かった。
えへへ、オムライスにケチャップで
なんて書こうかな♪
やっぱりここはLOVEかな
なんて考えながら
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
サイドバーにある、お好きなアイコンを
ぽちりと押して下さり、
宇宙雑貨ぷりちーぴなど
のぞいて頂ければ望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
「う~さぶい」
カチコチカチコチ。
今時珍しい我が家の鳩時計が十一時を告げる。
これは同棲している健太が
骨董市で買ってきたものだ。
趣味のマラソンのついでに寄って。
健太を例えるなら犬だろう。
そんな私は猫。
二人ともテレワークで、
昨日の夜仕事を終えて炬燵で鍋をして
私は一杯やった気持ちよさで
そのまま炬燵で眠ってしまったのだ。
起き上がろうとすると
「半纏・・・」
そう、健太の青い半纏が
ずるりと私の上半身から落ちる。
炬燵の上を見れば
きれいにかたづいている。
外のベランダでは
洗濯ものが気持ちよさそうに
冬晴れの中をユラユラ揺れている。
炬燵の上をもう一度見ると
”走ってくる”
と書かれたポストイットが張ってある。
ありがたや本当に良き彼氏をゲットした
私を褒めてやりたい。
・・・などと言おうものなら
母親に、返品不可だからねと
言われた言葉を思い出した。
私は頭を振って、いかんいかん
正月はもう終わったのである。
堕落した生活をして愛想をつかされたら
返品先はない。
などと考えて炬燵からえいやっと出ると
部屋の空気があたたかい。
エアコンがついている。
「健太、どこまでできる子なの」
私は健太を育てた親御さんに感謝した。
その時ガチャリと玄関の鍵が開いた。
「ただいま、あれ?亜子起きてたの」
「う、うん。起きてたよ」
「ハハハ、随分良く寝たな」
「そ、そんなことないよ。
随分前に起きていたよ」
「分かった分かった。
それよりさ、いつものマラソンコースを
ちょっと変更して走っていたら
丁度農家の朝市に出くわしてね」
そして右手をあげて卵パックの入った
ビニール袋を見せる。
「卵?普通にスーパーにいけばあるよね?」
「それが違うんだな。
今日は一月二十日で
今年の二十四季節の大寒だろ。
大寒の日に産まれた卵を
大寒卵(だいかんたまご)と言って、
食べると子供だったら丈夫になるし、
大人だったら金運が良くなるんだって」
「健太、えらい!それは早速食べないと。
何にしようか」
「そうだな。俺、亜子の作ったオムライス食べたいな。
もう昼だし、走ったら腹減った」
「そうだね。作っておくからシャワー浴びてきたら」
「うん、じゃぁ卵よろしく♪」
「まかされましたぁ」
こうして私は顔を洗うのもそこそこに
オムライスを作るために台所へ向かった。
えへへ、オムライスにケチャップで
なんて書こうかな♪
やっぱりここはLOVEかな
なんて考えながら
了
善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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