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SS230324 俺と隣の吸血鬼さんと『朧月』

SS230324 俺と隣の吸血鬼さんと『朧月』…🦇


「ただいまぁ 吸血鬼さん?」

あれ?部屋が暗い。
吸血鬼さん、アパートの俺ん家の隣の自室に
帰ったのかな?

それにしては玄関に吸血鬼さんの靴があったし。
俺は廊下を通ってリビングに入った。
電気をつけようとして止めた。

吸血鬼さんが窓を開けて
空を見上げていたからだ。

そう、吸血鬼さん。

ひょんな事から知り合った俺達は、
俺が彼に食事提供(献血)をする代わりに
家事一切を引き受けてもらっている。
しかも、彼は食事(献血)をすると
目からルビーがでて、その分け前の半分を
俺にくれる太っ腹だ。
しかも闇夜の鴉も真っ青な黒い髪は
天使の輪ができていて、
その青い瞳でみつめられたら
どんな女性も首筋を差し出すその美貌と
きたもんだ。
ま、男の嫉妬もおこらん位の美形である。
まぁ、おかげで俺は、それまで勤めていたブラック企業と
おさらばして、定時定刻出社退社土日祝日有給全消化の
ホワイト企業に再就職。
しかも、吸血鬼さんの手作り料理でコンビニで命をつなぐ
生活ともさよならして、健康優良児と化している。
もちろん、そっちの方が吸血鬼さんにとっても喜ばしい
事なのでウィンウィンの関係だ。
そして最初に戻る。

「あのう、吸血鬼さん?」

すると吸血鬼さんがこちらを向いた。
その双眼は宝石の様に輝く紅い瞳をしていた。

「ああ、お帰りなさい。
月が雲に霞んでいましたので
つい、見惚れておりました」

「本当だ。綺麗な朧月だね。
アパート前の桜が街燈の灯りに照らされて
満開のいい景色だね」

「そうですね。つい風流な物で」

「そうだったのか。
だけど三月は結構冷えるから
そろそろ窓を閉めた方がよくないか」

俺がそう言うと
吸血鬼さんは、瞳を紅く煌めかせて

「吞みませんか?」

「・・・いいけど。
珍しいね、普段は俺の栄養管理に煩いのに」

「たまには私も何もかも忘れて
吞みたい時がありますよ。
酔った貴方の血液を二、三滴いただければいいですよ」

そう言って、俺に日本酒の鬼帰りと桝を
出してきた。

「え!鬼帰りじゃないか。
余りの旨さに鬼が何もせずに帰ると言われる
銘酒中の銘酒」

「入手先は内緒です。酒のあてもありますから
どうぞ」

「吸血鬼さん、何かあったのか」

俺は並々と注がれた日本酒を前にじっと
吸血鬼さんをみつめた。

「吸血鬼さん・・・目が紅いよ」

「そうですか・・・私が永く生きているのは
ご存じですよね」

俺はこくんとうなずいた。

「この国に来てすぐ懇意になった人がおりましてね。
本当によくしていただきました。
身体のあまり強い人ではなかったので。
その人は朧月夜の日に亡くなりまして。
そう、こんな三月です」

「そうか・・・今日はその人の
命日なんだね」

「ええ」

俺は、鬼帰りを吞んだ。

「でもさ、そうやっていつまでも
覚えてくれる人がいるのはきっと
その人は幸せだと思うよ」

「そうですかねぇ。
幸せですかねぇ。
・・・私がいつか消えた時
そうやって覚えて弔ってくれる人が
いるでしょうか」

「うーん。どうなんだろう。
でもさぁ、命って循環しているから。
きっと吸血鬼さんもただ寿命が人より
永いだけで、この地球の生物だから
いつか地球の循環の輪に入るんだよ」

「ふふ。この私も地球の生命ですか。
そしていつか循環の輪に入るのですね」

「おう、入るよ。
だからさ、安心しろよ。
でも循環の輪に入る時泣きべそかくなよ」

「そうですね。その日を楽しみに
今日は楽しみましょう」

「おう。程よく酔ってきたから
献血に貢献しまーす。
文明の利器でお願いしまーす」

「それ、誤解を招きますよ。
良い子はちゃんと栄養バランスの食事をして
お酒は飲まずに献血に行きましょうね」

「吸血鬼さん、誰に言ってるの?」

そんな朧月夜を俺達は楽しむのだった。





善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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