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ss230331絶体絶命!!15『街角対戦曲』

SS230331 絶体絶命15『街角対戦曲』・・・⚔


「(*´Д`)大した依頼の無い町ねぇ」

そう言ったのはパーティーを組んでいる女魔法使い。

「ホーンと。おいらの腕が鳴る宝箱の詰まった
ダンジョン一つないとは」

いって大あくびをしたのはこれも
仲間の若いシーフ。

俺は剣士でこの二人とパーティーを組んで
各地の冒険者ギルドの依頼を受けて旅をしている。

だが、立ち寄った町はあまりにも平和過ぎた。
町の冒険者ギルドも暇なのか
依頼の貼ってあるボードは隅の壁に追いやられ、
美味しそうなランチやディナーを提供する方が
メインになっている。

「そんなこと言われてもしょうがないじゃない。
この町って城主様が有能そのもので平和なのよ。
だから受付の私もウエィトレスをやって
チップを稼いでいるのよ!」

そう言って腰に手を当てて文句を言った
ウエィトレスもとい受付嬢の女性。

「ほら、どうせ仕事なんかないんだから
お昼の定食でも食べて言ったら。
注文が決まったら呼んでちょうだい。
あ、三番席のお客様ぁ注文うかがいまーす」

俺達三人は顔を見合わせてため息をついた。
そしてとりあえず開いた席に座って
メニュー表をみようとしたその時。

「大変だ!『新』魔王が現れたっ
誰か戦える奴はいないか。
いたら広場まで来てくれ。
倒せば礼は弾むぞっ」

そう叫んだのはあちこち傷を追った
どうやら城の兵士のようだ。

俺達三人は即座に席を立って
彼に広場までの案内を頼んだ。
俺達の他について来る者はいなかった。

町の広場についた。
そこには兵士たちが傷ついて倒れていた。

そして町の真中に一人の男が立っていた。
お羊の角、長い黒髪に真紅の目
禍々しいオーラをだして
マントをひるがえして言った。

「さぁ、我は新魔王である。
我は退屈して折る。
誰か我と闘う者はいないのか。
これ以上つまらぬ時が過ぎるのなら
この町を・・・」

俺は叫んだ。
「待て!この俺が相手だっ」

すると魔王はにたりと笑い、

「ほう。その纏っている気から察するに
そなた勇者だな。
相手に不足はない」

そこで魔王は何を考えついたのか
くくくと笑って、

「普通の戦闘では面白くない。
ここは芸術で戦おう。
我はピアノを弾こうではないか」

「いいだろう。では俺はバイオリンで戦う」
俺は応えた。

「ちょっと、あんた音痴じゃない。
大体バイオリンなんか弾けるの?」

そう言ったのは女魔法使い。

「そんなことより早く耳栓をしろ。
おいらはこいつの歌声にこりているんだ」

仲間の若いシーフがどこから出したのか
耳栓を必死の形相で耳につめていた。

俺はそんな二人には構わず、
手から聖剣エクスカリバーを出した。
そして女魔法使いに聖剣をバイオリンに
変える魔法をかけさせた。

「用意はできたかの?それでは
我のピアノの音色とくと聴けいっ」

そう言ってピアノを引き出した魔王。

「くっこれは『絶対恐怖曲』!!」

俺は聖剣エクスカリバーを変じたバイオリンを
握りしめて声を絞り出した。

そう、この曲は不遇な音楽家が
そのねじ曲がった暗い感情を
楽譜にぶつけて書き上げたという代物だった。
魔王はその妖艶な笑みを浮かべて
楽し気に曲を弾きこなす。

破綻した和音の連続音の間に
流れるように鍵盤に指を走らせる際に
微妙にとなりの鍵盤をタッチして
二重の不協和音を奏で、
ペダルの強弱を足しげく踏み
脳が上下に絞り出されるような音の連続・・・

人々は必死の形相で逃げ出し
動けぬものは泡を吹いて倒れている。

俺は女魔法使いに言って
広場に結界を張るように言い、
耳栓をしているシーフに
動けぬ者達を広場の外に
運び出すよう言った。

そして、広場には新魔王とオレだけが残った。
新魔王は悦にいった表情で
ピアノを弾いている。

俺は聖剣エクスカリバー変じたバイオリンを
弾く体勢に構えた。

そして叫んだ。

「ビブラートマンドラゴラ奏法『絶対強者曲』!!」

「な、なにぃ『絶対強者曲』だとっ」

新魔王の顔色が変った。
そう、これは音楽を武器に戦った、とある
勇者の作った曲。
魔王を倒すために作られた至高の名曲。

「う、うがぁあ。やめてくれぇええ」

そう言われても俺は止める気は無かった。
これから甚大な被害をもたらす存在に
情けをかけるなどもってのほか。
新魔王は身体をビクビクふるわせて
耳を塞いで絶命した。

・・・・
「正義は勝つ」

俺がそうつぶやいた時。

「普通に聖剣エクスカリバーでたおさんかーい」

ごちんと俺を杖で殴ったのは
女魔法使い。
そういう彼女は何故かげっそりした顔をしていた。
そして

「あんたねぇ。なんて曲を弾いてくれるのよっ。
新魔王の弾く音はあたしの結界をこえなかったけれど、
あんたのは結界の外にまで聴こえて
町の人々を恐怖と絶望の縁に追い込んだのよ。
今、司祭様達が必死でヒーリングをかけている状態よ!」

「うう、それにお前のせいで町の建物が壊れて
礼金払えないって言われてしまったんだぞぉ」

若いシーフが恨めしそうに俺に愚痴った。

「しかし、新魔王が音楽で対戦することを望んだから」


「「だからって、するんじゃない!!」」

俺達は、町の人達にみつからないようこそこそと
逃げることにした。

・・・・・・・・・
俺はパーティーから追い出された。
一体何がいけなかったのか。
新魔王程の敵を倒す以上、
被害がでるのは仕方がない事だったのだが・・・。

そう落ち込んでいると
俺に声をかける者がいた。

「ねぇ、あんた剣士?
良かったらあたしたちとパーティー組まない?」





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