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SS230512 むかしむかしの適材適所・・・⚔

SS230512 むかしむかしの適材適所・・⚔


むかーしむかしのことじゃった。
あるところに貧乏な家があってな。
家財はもう皆売ったり質にいれてしまって
あるのは煎餅布団一組のみとなってしもうた。

それでも細々と暮らしていたところ、
ドンドンドンと表を叩く音がする。
そしてガラリと戸を開けて入ってきたのは
これまた強面の借金取立人。

「まったくしけた家だぜ。
えーい仕方がない。そこの汚ねぇ
煎餅布団を寄こしな!」

「ああ、それだけはご勘弁を。
病気のおとっつぁんが寝ているのです」

「はっ。そんなの知ったことか」

するとバーンっと家の戸が開いて、
バックからライトを照らして
影だけが見える人物が立っておった。

中にいた家の者と借金取りは
ま、まぶしいと言って
手で目を覆った。

すると次の瞬間
ライトの光が消えたので
恐る恐る入り口を見ると
そこにいた人物は

「我こそは大岡越前の守である」

と名乗るではないか。
家の中にいた者達は
うさん臭く思ったが
身なりが立派だったのと
後ろに控えている岡っ引き達が怖くて
とりあえず頭を下げたのじゃった。

「話は聞いた。
確かに貸した金は返さねばならぬが
老父の布団まで持って行くとは
酷い話だ。そこでこうしよう」

そこで大可越前と名乗る男は、
後ろを振り向き配下の者に合図をしたのじゃった。
すると背後から

「失礼するぜ。
俺たちゃぁ布団職人だ。
ちょっとじぃさん布団から出てもらえるかい」

そう言って、持ってきた温かそうな豪華な布団を一組
老父の寝ていた煎餅布団と並べる。

(はっ、もしかして布団を取り替えて下さるのか)
と家の者は思った。

(おお、もしかしてあの豪華な布団を
この家の借金の代わりにくれるのか)
と借金取りは考えた。

ザクっ。
「「!!!」」

ザクザクザク
「「なんで布団を切るんだぁ」」

思わず叫ぶ家の者と借金取り。
そう、職人たちはこの家の煎餅布団と
豪華な布団を三等分しおったのじゃ。

すると職人の一人がキョトンとして

「そりゃぁ、大岡越前の守様と言えば
三方一両損のお方だからねぇ。
こうして御自らの布団と煎餅布団を
三等分して三つに分けるのは当然じゃねぇか」

「「阿保かぁああああ」」

「本日のお白洲それまで!」

そう大岡越前の守は言い残すと
一行は風のように去って行った。

後に残された家の者と借金取りは
それぞれ三分の二の大きさになった
煎餅布団と大岡越前の布団を
組み合わされた物が残されたのじゃった。

おしまい


善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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望外な喜びです。
宇宙生物ぷりちーぴm(__)m
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また、『SS』とは
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