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SS230609 金借りの銀次

SS230609 金借りの銀次・・・💰


ここは鉱山。
一人の男が仲間と共にキツイ仕事を懸命に働いていた。
そこへやってきたのは・・・

「へ、へ、へ。やっと会えやしたね旦那」

「あ、そういうお前は『金借りの銀次』!」

「そうでやんすよ。旦那から金を借りて返さない
『金借りの銀次』とは俺のことでやんす、へへへ」

「もう貸した金のことはいいから
帰りなさい。ここは危険だ」

「へへへ、そういう訳にはいかねぇですなぁ。
旦那。確かにこの金借りの銀次、
借りた金は返せねぇですが、いい話を持ってきましてね」

「そんなことはどうでもいい。
仕事に戻らせてくれ。
今日のノルマがあるんだ」

「いやいや、いい話しですぜぇ。
家族で豪邸に住み、日々のんびりと
遊行三昧珍味の美食の宴に
美男美女に囲まれ酒池肉林。
悠々自適の生活を送る・・・」

「そんな生活は望んでいない!
家族も同様だ。
ここでみんな満足しているっ」

「そういう訳にはいかないんでやんす。
おい、旦那を連れて行け」

へい、という掛け声と共に
強面の男たち数人が炭鉱で働いていた男を
取り囲み、手足を掴んで入り口へと
運んで行った。

男は金借りの銀次に向かって
鬼悪魔~
という言葉をぶつけ、それが狭い坑道を反射した。

「全く、変な世の中になったもんだぜ。
それというのも天国極楽地獄が本当にあると
世界中の人間が見た辺りからだなぁ」
銀次は懐から飴を取り出すと口の中へほおり込んで

「そして政治家はボロ服を着てボロ屋に住み、
富豪は金を貧乏人に分け与え、
それでも余ったお金で世界中の人々が
豊かに暮らせるシステムを作る。
人々は争って募金をしボランティアに励み
キツイ仕事に喜んでつくようになるなんてなぁ」

コロコロと口の中で飴を転がす銀次。

「おかげで元は金貸しの俺が
商売上がったりだったのが、
『金借り』の仕事につくようになったわけだが・・・。
ふわぁあ、まぁ良かったらみなさんも
俺に金を貸して下せぇやんす。へへへ」

こうして坑道を立ち去った銀次。
その後ろ姿を恐怖の眼差しで見送る鉱夫達がいた。

南無阿弥陀仏。




善き事がありますように。
お読みいただきありがとうございました。
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宇宙生物ぷりちーぴm(__)m


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